近年、中国人観光客が多数日本を訪れるようになり、日本国内における中国人に対するイメージはどのように変わっただろうか。特に、これまで中国と関わった事のなかった人にとって、中国人観光客との出会いは「衝撃的」だったかもしれない。
そして残念ながら、その「衝撃」がしばしば「嫌悪感」にもつながってしまうのである。

 中国メディア・環球網は4日、「日本は中国人観光客を嫌い始めているのか」とする記事を掲載した。そのなかで、中国人観光客と接する機会のある様々なサービス業従事者による、中国人観光客に対するネガティブな印象が紹介されている。

 まず、美容医療業に従事する女性が、「感情的に、本当に中国人を相手に商売をしたくないと思うことがある」と語ったことを紹介。「予約を連絡なしでキャンセルする」、「予約時間を頻繁に変える。5度も変えた人すらいる」、「施術後に値切りを要求する」といった中国人客の行動がその理由であり、「今の日本は景気が悪く、中国人がお得意様になりつつあるので、みんなガマンしているのだ」と漏らしたことを伝えた。

 また、観光関連業界においても中国人客に対する不満の声が少なくないとし、東京にある高速バスステーションのチケット担当者が、「中国人客は確かに面倒。並ばないし、英語を使おうともしない」と語ったほか、特に以前は大量の荷物を持って乗車しようとするケースが多く、「他の乗客の迷惑になるので、お断りして電車に乗るように案内していた」ことを明らかにしたと伝えている。一方で、「今ではそのような状況は少なくなった」と強調したことも併せて紹介した。

 記事は、このようにサービス業従事者の間で、中国人観光客に対する不満はあるものの、「日本の商業者は総じて中国人観光客を歓迎している」と説明。一方で、一般市民の見方は深刻であり、「昼休みによく行く寿司屋が中国人客で混雑し、行けなくなった」といった不満の声が目立つとした。

 そのうえで、ある日本人の公務員が「主婦やサラリーマン、学生などは中国人観光客から利益を得られないため、彼らに対してネガティブな評価を下しやすい」と説明し、日本国内において中国人観光客に対する矛盾した見方が生じていると話したことを伝えている。


 心地よいサービスには、提供する側の努力はもちろんのこと、享受する側の理解も必要。互いにいい気持ちになれるのが、サービスの神髄と言えるだろう。日本の店舗は中国人観光客の扱い方を知る努力をし、中国人観光客は日本でのマナーやルールを理解する姿勢を見せなければならない。

 現地市民の中国人観光客に対するイメージを改善するのはなかなか難しい。「現地人の日常生活に影響を与えない」ことが旅行の大前提との認識を持ったうえで、地道に印象を変えていくしかないかもしれない。「日本に来てカネを落としてやってるんだぞ」という「上から目線」では、溝が深まるばかりだ。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:(C)Ponsulak Kunsub/123RF)


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