中国では近年、日本の芸術や文化に対する関心が高まっている。彼らにとって魅力的に映るのは、東西文化の融合、伝統と現代の共存といった点のようだ。
中国メディア・信息時報は17日、「日本の現代デザイン100点による啓示」と題した記事を掲載した。

 記事は「日本のデザインは特に容易にわれわれの思考を引き起こすものである」としたうえで、今月10日より30日まで広東省広州市で「当代日本デザイン100選」展が開催されていると紹介。同展では2010年以降に生まれた日本のデザインに着目して選んだ作品100点を展示、三宅一生、中村好文など日本の著名デザイナー各氏の作品も含まれていると伝えた。

 そして、同展に合わせて行われた「日本デザインの精神的特徴」という講座の中で、清華大学美術学院の張夫也教授が「日本の現代デザインは2本のレールの上を走っている。伝統的なデザインや文化を大々的に保護、提唱しつつ、現代デザインの発展、推進、向上を主張しているのだ。伝統と現代は矛盾せず、衝突することなく、調和的に発展できる。しかも、互いに干渉もしないのだ」と説明したことを紹介した。

 さらに、「現代化を進めると同時に、自らの民族的、伝統的なデザインを守り、広めさえする国、しかも両者を協調的に共存させている国は、世界でも少な。これを成し遂げた日本は、わが国、そして、他の国にとってもお手本なのである」とし、中国で日本の現代デザイン展を実施する大きな意味について説明したことを伝えている。

 「伝統と現代の共存」というテーマを巡っては、伝統の保護、現代の発展、そして、伝統と現代の融合によるイノベーションとう3つの取り組みが必要だ。今の中国では、それぞれにネックとなる問題を抱えている。失われかけた伝統を取り戻す、模倣からオリジナル創出へと転換する、といった問題だ。
それゆえ、特に「古今東西」が有機的に結び付き、日々新たなデザインが生まれる日本に「学ぶべし」というムードが高まっているのだろう。

 伝統の保護や復活、イノベーションの環境づくりは、すぐに結果が出るものではない。「3年先の稽古」と心得て、近い将来の発展を実現するベースを作らねばならない。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)


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