マレーシアのマハティール首相は今年5月、同国とシンガポールを結ぶ約350キロの高速鉄道計画について、高額な費用を理由に白紙撤回の考えを表明した。中国メディアの新浪は10日、この高速鉄道計画の行方を予測する記事を掲載した。


 この高速鉄道計画の行方に中国が非常な関心を示しているのも当然だ。これは中国の提唱するシルクロード経済圏構想「一帯一路」の主要事業とされ、2026年に完成を予定していた。しかし、5月の総選挙で返り咲いたマハティール首相が一転、白紙撤回を表明したのだ。この計画はマレーシアとシンガポールとの約350キロの間を90分で結ぶというもので、中国のほか、日本や欧州の企業が受注を目指していた。

 記事によると、この高速鉄道計画をめぐり再び受注合戦が繰り広げられる可能性があるという。マレーシアが本当に白紙撤回すれば、シンガポールに巨額の違約金を支払う必要があるため、延期という形になる可能性があるためだ。中国や日本や韓国、欧州の企業にとってはチャンスが再び訪れることになるが、日本が落札する可能性が高いという見方があるようだ。

 その理由について記事は、マハティール氏が「日本に好感」を示していることを指摘。この2カ月で2度も訪日しており、九州新幹線を視察して、その正確さと天候の変化に対応できるレベルの高さを称賛したとしている。マレーシア人の間でも新幹線の話題で持ちきりとなっており、マレーシア国内の風潮はすっかり日本の新幹線に傾いているとしている。

 当然のことながら、記事の中国人筆者はこの流れに批判的だ。この路線はアジアで初めて国境をまたぐ高速鉄道であり、同時に世界が入札に参加する東南アジア初の高速鉄道計画でもあり、今後のアジアにおける高速鉄道輸出に大きな影響を与えるものだと分析。
その点、偽造問題や、英国へ輸出した鉄道車両の水漏れなど、不祥事の相次ぐ日本は力不足であり、タイの高速鉄道建設計画も順調ではなく、マハティール首相のいうことも当てにならないため、日本がもし受注を獲得しても痛い目を見るだけだ、と強がりとも取れる発言で結んだ。

 中国にとって「一帯一路」構想は国家の大事業であり、このたびの白紙撤回は大きな痛手となったのは間違いないだろう。再び受注合戦が繰り広げられる可能性があるというわけだが、新幹線の質が評価されることを期待したい。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)


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