世界最大の太陽光発電パネルメーカーであるジンコソーラー(NYSE:JKS)は、ドイツのミュンヘンで5月17日まで開催された世界的な太陽光発電の展示会IntersolarのEUROPE2019で太陽光発電賞を受賞した。同社が製造する先端のSwan(スワン)両面発電モジュールが、効率、年間発電量、信頼性などにおいて優れた成績が評価された。
拡大が期待できる欧州の太陽光発電市場で存在感を示すことができたといえる。

 Swanモジュールは、同社が開発した最高変換効率20.38%の高効率と最高出力400W実現したCheetah(チータ)両面電池技術とデュポン社のTedlar透明薄膜技術を組み合わせることによって、最大正面発電効率が400Wを実現し、裏側に最大20%の発電利得に達することができる。そして、両面ガラスモジュールによって軽量化、設置の簡便化を実現した。

 また、ミュンヘンのIntersolarでは、太陽光発電賞としてジンコソーラーの「Swanモジュール」の他に、中国の華為技術ファーウェイ)のスマートPVストリングインバータ「SUN2000」、そして、イスラエルのRaycatch社の太陽光発電システム用の自動AI診断システム「DeepSolar」を選んでいる。

 米中の貿易摩擦によって、事実上、中国メーカーの製品が米国市場から排除され、その米中の対立を横目に、EU(ヨーロッパ連合)と中国の接近が顕著になっている。今回の展示会でも、米国市場から締め出しをくっているファーウェイの製品が表彰された。


 現在の太陽光発電市場は、ジンコソーラーをはじめ、LONGI、JA Solar、Trina Solarなど、中国の企業が上位を席巻している。世界最大の太陽光発電市場である中国での需要拡大の恩恵を受けてきたためだ。

 ただ、中国国内の成長が鈍化、第2位の市場である米国からは締め出され、その米国に代わる市場がなかなか育ってこないというジレンマがある。たとえば、ジンコソーラーの売上高の地域別シェアは、2018年に中国国内が26.4%、米国が10.9%だった。2016年には中国国内が38.5%で米国が36%と2カ国で約75%を占めていた状態からはグローバル分散が進んだが、米中2カ国で売り上げはまだ全体の3分の1以上を占めている。

 現在のところ、米国に次ぐ市場は、メキシコ8.9%、オーストラリア8.3%、日本7.5%だ。
2016年は、メキシコは0.6%、オーストラリアは1.2%、日本4.6%という水準だったため、その成長は著しい。そして、これに次ぐ成長が期待されるのが、UAE、ベトナム、エジプトなどアジアや中東の新興国。さらに、その次の市場がヨーロッパになる。ヨーロッパ向けは、16年ではほぼゼロだったが、18年にはスペインが2.3%、ドイツが1.8%を占めるまでになってきた。

 EUはパリ協定で、2030年までに温室効果ガス排出量を1990年比40%削減するという野心的な目標を掲げて、再生可能エネルギーの導入に積極的になっている。経済的に厳しいイタリアやスペインでも太陽光発電への投資計画が公表された。
ジンコソーラーがIntersolar EUROPEで高い評価を受けたことは、これからのEU市場開拓の追い風だ。(イメージ写真提供:123RF)


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