第3四半期までの米菓市場は2%増と堅調な動きとなった。日本人に馴染み深い米菓は、コロナ禍で不安の中、安心安全なものを求める消費者ニーズにマッチし、4~5月の緊急事態宣言中は15%増で推移した。
猛暑やお盆の往来減少で落ち込んだ時期もあったが、秋の到来とともに回復し、最盛期の12月は大寒波による大雪で配送など多少苦慮したものの、大きな混乱もなく1.2%増と盛り返した。

第3Qまで、まずまずの動きだったのは、ロングセラー商品や大袋商品が好調なことに加え、家飲み需要の増加でおつまみ適性の高い商品が好調だったため。また、スナックユーザーからの流入とみられる揚げ米菓の数字もよかった。大手5社の第3Qまでの動向は次の通り。

亀田製菓は2%増と好調に推移した。最盛期の12月に3%増と伸長した影響が大きい。つまみカテゴリーが非常に好調で、「亀田の柿の種」3.7%増、「つまみ種」35%増と主力ブランドが牽引した。好調な「つまみ種」は期間限定品の発売が夏と冬だったが、コロナ禍の動きに加え量産体制が整ったことから、春も期間限定品を発売する。「揚げ一番」などの揚げ米菓も好調で、スナックユーザーからの流入もみられる。春には新しい3ブランドを立ち上げる予定。主力商品の「柿の種」や「ハッピーターン」に注力しながら新たな風も吹き込む。

三幸製菓は、ほぼ前年並みで推移。
11~12月は主力ブランドの「雪の宿」「新潟仕込み」「丸大豆せんべい」や大袋商品の「つきたてミックス」などが牽引。特に「丸大豆せんべい」や「三幸の柿の種梅ざらめ」は二ケタ増。年末は、保存ができるチャック付き商品の「つきたてミックス」や「黒豆あられ」などが好調だった。重点商品は、健康意識が高まる中で栄養価が高いアーモンドを使用した「チーズアーモンド」と「チョコアーモンド」。発売2年目となる「チョコアーモンド」は普段米菓をあまり食べない消費者にもトライアルしてほしい商品だという。

岩塚製菓は微増で着地。第1Qは巣ごもり消費で主力の「黒豆せんべい」や「味しらべ」などを中心に伸長したが、生活行動の変化からコンビニや観光地での売上げ低迷により、全体では微増となった。12月は、関越道の大雪による立ち往生で委託配送トラックの運転手が同社の菓子を周囲に配布したことがSNS上で話題に上り、その反響で需要が高まった。重点商品は、おかきカテゴリー1位の「田舎のおかきシリーズ」。春の新工場稼働により、あられ・おかきのさらなる拡大を目指す。

栗山米菓は前年並みで着地。緊急事態宣言後の巣ごもり需要で「ばかうけ」「瀬戸汐」といった主力商品が好調だったが、解除後は巣ごもりの反動と酷暑の影響から厳しい状況が続いた。
秋から年末は前年並みに推移、10月に発売した「鬼滅の刃ばかうけごま揚」はシール貼付という新しい試みが好評だった。今年は、引き続き「ばかうけ」「瀬戸汐」など主力商品を拡売するとともに、9月に発売した国産玄米100%使用の「玄米せんべい」を健康意識の高まりを受け拡販していく。また、SNSなどを活用しコンテンツの充実やインフルエンサーを絡めて拡売を図る。

ぼんちは6%増と好調に推移。コンビニの落ち込みがあったがスーパー、ドラッグストアが大きく伸び、売上げをカバーした。4~5月は主力ブランドの「ぼんち揚げ」が二ケタ増、家飲み需要の増加で「ピーナッツあげ」や「海鮮煎餅シリーズ」が好調に推移した。6月以降は、他の菓子カテゴリーとの間食需要のカニバリがみられるものの前年並みで推移している。年末年始の動きも例年と比べ進物や直販は厳しい状況だったが、総需要としては例年並みに推移した。今年創業90周年を迎える同社は、消費者キャンペーンで訴求を図るほか、2月に「海鮮煎餅シリーズ」のパッケージをリニューアルし主力商品に注力していく。
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