
この好調ぶりについて、昨年7月頃からの「ネスレ ミロ」(ネスレ日本)の話題沸騰が起爆剤になったとみるのは、取材に応じた森永製菓の中村望食品マーケティング部ココアブランドマネジャー。
「貧血やめまいで悩まれている女性がいかに多いかが顕在化された。その対策として鉄分補給などに注目が集まったことで、普段あまりココア棚に来られない方に『こんな商品あったの!?』と気づいていただいたことが大きなチャンスとなった」と振り返る。
森永製菓の中村望マネジャー ココアは、他の嗜好飲料と異なり抽出液ではなく、カカオ豆をすり潰してできるものであるためカルシウム、マグネシウム、鉄を含み、食物繊維も生野菜や果物よりもはるかに多く含まれている。活性酸素を抑える作用のあるポリフェノールを含んでいるのも特徴となっている。
「牛乳で飲むココア」は溶けやすく造粒加工した調整ココア。冷たい牛乳にサッと溶け、同商品12gと牛乳150㎖の1杯でカルシウム・鉄・ビタミンDの成分が1日の必要量の半分摂れるのが特徴で、子どもと、子どもに牛乳を積極的に飲ませたい主婦層の双方に支持されて、今期(3月期)は販売金額で前年比20%増の着地を見込む。一方、「セノビー」は今期、2倍弱の伸びとなる見通し。

「カカオの力」は、カカオ分70%の調整ココアで、健康的で美しくありたいと願う女性のインサイトに寄り添うべく、昨年のリニューアルで、パッケージデザインなどに磨きをかけた。「美容については口紅などのアウターケアよりも乳液・化粧水といったインナーケアがトレンド。
コロナによる健康志向の高まりと外出自粛による手作り需要の増加で大幅伸長したのは「純ココア」で、今期、前年比20%増の着地見込みで推移している。

主に健康志向の高まりで「牛乳で飲むココア」「セノビー」「カカオの力」「純ココア」といった健康価値訴求アイテムが伸長する半面、オーソドックスで旗艦アイテムとなる「ミルクココア」(300g)がしばらく苦戦を強いられた。息を吹き返したのは、「家族色のタータンチェックを作ろう」と題した企画を昨年11月に開始以降で、12月には二ケタのプラスへと浮上した。
この企画は、「家族の中で共有されてきた『ミルクココア』は、個のニーズが拡大する昨今からしてみると対局の存在だが、そんな時代だからこそ『共有の価値』が受け入れられるのではないかと考案した」もので3月まで実施。

同商品は「バンホーテン ピュアココア」を72%配合した甘さ控えめのビターで濃厚な味わいが特徴の調整ココアで、1杯当たり食物繊維5.7g、カカオポリフェノール720㎎が摂れる設計になっている。
昨年3月に発売したスティックタイプの「バンホーテン ミルクココア糖質60%オフ」も好調。「家事や仕事の合間で甘いものが欲しくなった時などに糖質やカロリーを気にせず楽しめるということでご好評をいただいているとみている。前身商品と比べると1.7倍程度の伸びで推移している」(片岡物産)という。
ココアカテゴリーがオフシーズンの春夏も活性化の兆しを見せる中、「ネスレ ミロ」は3月以降の販売再開を予定している。2月8日、取材に応じたネスレ日本の高岡二郎飲料事業本部レギュラーソリュブルコーヒー&RTDビジネス部部長は、「ミロ」の新施策について「3月の再発売に向けて検討している段階で、現時点では再発売に注力していく。しっかり供給できる体制を整えたい」と語った。