
開設の背景には、同社が進める消費者起点の統合型マーケティングがある。マーケティング本部長を務める松山一雄専務は「以前はどちらかというとメーカー視点だったが、消費者から見たときには一貫性がないこともあり、課題だった」と話すが、現在では消費者を中心に置き、その心を動かすマーケティングへの改革を進めている。
昨年の「スーパードライ」購入者は1千500万人弱だったというが、26年には2千万人を目指しており、ブランドの存在意義の見直しなども行った。
この流れの中で体験型のミュージアムを開設した。従来の工場見学という形ではなく、来場者自らが楽しめる体験内容で構成し、声を取り入れて展示内容も更新していくという。
塩澤賢一社長㊧と松山一雄専務(アサヒビール) 塩澤賢一社長が「お客さま自ら楽しめる体験や、出来たての『スーパードライ』の試飲を通じて、こだわりと魅力を五感で体験していただける」という通り、全長17mの5K大型スクリーンや、缶に乗ったかのような没入感を体験できる「Go Ride」などを設け、試飲やビールサーブ体験、泡プリンターなども楽しめる。
ミュージアムツアーはコロナ禍もあり、当面は人数を絞って実施。各所に消毒薬を設置するなどの対策も施す。
なお、具体的な構想はないが、他工場でも特性に合わせた発信も検討していくという。