日本アクセスは5月28日、本社で決算説明会を開催。佐々木淳一社長は「20年度は減収減益の厳しい決算となった。
コロナ禍で顕在化した経営課題を先送りせず、早期解決のために変革を断行し、21年度は売上高2兆1千800億円(前期比15%増)、経常利益218億円(同22.1%増)の増収増益を目指す」と語り、売上げ・利益ともに食品卸業界№1を狙う意気込みを示した。

同社の20年度連結業績は売上高2兆1千472億円(前年同期比0.3%減)、経常利益179億円(16.4%減)。コロナ禍で量販・ドラッグ向けを中心とする家庭用が3.7%増(約980億円増)と伸長したが、コンビニ向け(9.6%減、578億円減)、外食・デリカメーカー向け(12.9%減、440億円減)の落ち込みにより、連結ベースでは約70億円の減収となった。

売上総利益は前期比2.3%減。コンビニ・外食向けの売上減に対し、配送効率の見直し(稼働契約車輛台数8千500台/日、前期比500台減)など効率化を進めたが、通過額減少(前期比1.2%減)をカバーできずに売総経費率は2.1ポイント悪化し、減益決算となった。

佐々木社長は「コロナ禍での業務改革・収益基盤の回復はいまだ道半ばの状況で業務改革の断行と事業モデルの変革を急ぐ。
ポストコロナを見据え消費環境が大きく変わる中で、既存の枠組みから脱却し、新たな価値を生み出すイノベーション創出が不可欠」とした。

その上で、21年度の基本方針では

①成長事業・成長領域の拡大
②事業モデルの変革
③業務改革とDX推進
④成長・変革を促進する人財・風土改革
⑤サステナブル経営の推進

――を掲げ、持続的な企業価値向上を目指す。

具体的な取り組みでは、①ではフルライン戦略を推進し、強みであるチルド・低温分野のさらなる強化拡大、ドライでは乾物乾麺のほか、酒・菓子の取り組み強化、業務用向けのノンフードビジネスの一体提案を拡充する。

商品開発ではアクセスブランド、冷凍ミールキットの開発強化、デリカ・中食ではデリカ管掌を新設し、中核事業としてさらなる拡大を進める。ロジスティクス事業では冷凍マザーセンターの本格稼働(年末予定)、EC分野ではBtoB、BtoBtoCの2モデルで全国500拠点を活用したフィルフィラメントバイアクセスの構築を進め、新たにチルド・日配品のセンター蔵出しにチャレンジする。

事業モデルの変革では、CVS事業の立て直しが急務とし、ファミリーマートと一体となったサプライチェーン最適化に向けた物流改革、受発注効率化、日商アップに向けた商品提案を強化。
外食事業では飲食店ブランドを活用した商品開発やロス削減に向けた新たなシステム開発を進めるほか、生鮮事業では仕入調達力強化・アライアンス戦略の推進など、新たな成長事業モデルを構築する。

次世代ビジネスの柱となる情報卸では、小売業のDX推進をサポートし、すでに小売5社での本格展開がスタート、今年度中に10社の導入を広げるほか、メーカー向けのサービス開始も予定。サステナブル経営では2030年までに食品ロス50%削減(16年度同社実績比)、カーボンニュートラル実現に向けた自家消費型太陽光発電システムの導入拡大を進める。

なお、今期の連結定量目標は売上高2兆1千800億円(前期比1.5%増)、経常利益218億円(22.1%増)、当期利益147億円(50.6%増)。今期から「収益認識に関する会計基準」を適用し、現時点で744億円のマイナス影響を見込む。定量目標の達成には、売上高で実質約1千億円の増収がカギとなるが、前期落ち込んだコンビニ・外食デリカの早期回復を図るとともに、物流・受発注の効率化を図り、経常利益1%達成を目指す。