4月1日付で前任の植月実氏から引き継いだ、日本ハム冷凍食品の伏見浩二社長。コロナ禍で食を取り巻く環境が大きく変わる中での就任だ。


昨年度の調理冷凍食品市場は、巣ごもり需要をとらえて前年比109%と大きく伸長した(SCIデータ)。から揚げ、ハンバーグなど畜肉総菜、餃子、シュウマイなどの中華総菜、スナック、米飯類が軒並み拡大した。

このような背景の中で市販用冷凍食品に特化した同社も内食需要拡大の流れに乗り増収増益で着地した。秋に発売した食卓向けおかずの新ブランド「シェフの厨房」シリーズや「ちっちゃなチーズハットグ」「チキチキボーン味の骨なしフライドチキン」などのスナックカテゴリーが好評で売上げは伸長した。

また、コロナ禍で営業活動が変化したことで、経費が大きく下がり、増益要因の一つになった。今後について伏見氏は、コロナ禍次第であるものの、たんぱく質原料の有効活用を進めるという。


グループでは新中期経営計画の骨子である「Vision2030」に「たんぱく質を、もっと自由に。」を掲げている。これまでグループは肉、魚、乳製品などを通してたんぱく質を提供してきたが、今後は世界的な人口増加でたんぱく質の需要増加が見込まれており、供給が追い付かなくなる懸念もあるという。

「Vision2030」にある「もっと自由に。」について伏見氏は「これまで提供してきた安全安心と美味しさに、さらに新たな価値を加えること」だといい、冷凍食品でも「生命の海からいただいた貴重なたんぱく質を冷食で生かし、いつでも手軽に美味しくお召し上がりいただくことで、お客さまの健康を支えるたんぱく質の摂取に貢献する」と話す。

冷食においては、現時点で決定していることはないが、普段の食生活の中で楽しめるメニューを畜肉系で進めたいとする。

また、グループのシナジーを最大限に生かし、SDGsも経営の根幹に据えるとしている。

今年度は「中華の鉄人 陳建一」シリーズと「シェフの厨房」シリーズを2大ブランドと位置付け強化。
中華総菜と畜肉総菜カテゴリーでシェアの拡大に取り組んでいるところだ。

コロナが再び拡大する中、「外出控えや在宅ワークの推進などから消費者の食シーンはさらに大きく変化していくと考えており、昨年3月から一変した内食率は今後も高い推移をしていく」とみている。

また、家庭行事などでも「新たな発想で企画したちょっと贅沢、特別な日など、食シーンも家庭ごとに工夫する傾向があると考える」。

社会・生活環境の変化の中で「当初は食をもっと自由に楽しめる多様な食生活をお届けできるよう、家庭での食卓時間を大切にしていただきたいと考え、日々のさまざまなシーンで楽しめる商品を企画し、提供していく」。