日清食品チルドの伊地知稔彦社長が前期の総括、今上期の市場概況や同社の業績について語った。
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2020年度のチルド麺市場は前年比約114%で大変大きく伸長した。マーケットをリードしたジャンルはラーメンで、前年比約120%。その中でも特に2食の高単価・プレミアムタイプが非常に大きく伸び、チルド麺全体を大きく牽引した。2021年度(4~7月)の市場は前年比約92%。昨年は市場が大きく伸びたが、その中でも特に4月、5月は前年比130%を超えるような大きな伸びがあった。その反動で今期は1割程度マーケットがシュリンクしているという状況だ。
ただ内容を見ると、ラーメンジャンルの中でボリューム的にはまだまだスープタイプのラーメンと比べると小さいが、つけ麺、まぜ麺が昨年の巣ごもり需要を大きく超えて今期も非常に好調だ。チルド麺全体で前年比92%という中、つけ麺、まぜ麺を含む2食タイプの高単価・プレミアムタイプ商品群は前年を上回り、大変よく売れている。弊社の商品では「つけ麺の達人」や「まぜ麺の達人」といった商品だが、「行列のできる店のラーメン」「有名店」シリーズといった商品を含め、コロナ前の一昨年と比較すると著しく伸長している。
チルド麺ユーザーはこれまで、どちらかというと中高年を中心に形成されていたが、昨年、チルド麺市場が大きく伸びた理由の一つが10~30代の若年層利用率が大変よく伸びたこと。若年層が新規ユーザーとして入ってきたことが昨年の大きな伸びにつながっている。こうした若年層が比較的利用している商品が、つけ麺、まぜ麺といった商品群。
全体を総括すると、20年度はコロナ禍における巣ごもり需要ということで、多くのお客さまが家庭で食事をとられる機会が増え、特に若年層を中心にチルド麺の利用率が大きく伸びた。これによりチルド麺全体で大きな伸びを記録した。特に高価格帯のラーメン、つけ麺、まぜ麺といった商品がマーケットをリードした。2021年度の市場は前年比で1割程度シュリンクしているが、高価格帯のラーメン、つけ麺、まぜ麺は前年を超える勢いが続いている。チルド麺のマーケットは(前期と比べ)非常に厳しい状況だが、弊社の前半戦の販売状況としては、おそらく前年を上回っていけるのではないかととらえている。