エイチ・ツー・オー リテイリング(以下H2O)は8月31日、連結子会社の食品スーパー2社と、関西スーパーが経営統合すると発表した。

契約締結を機に両社の食品事業の統合、株式交換を進め、来年2月21日には新設する中間持株会社の傘下へ異動する。


“関西最強の地域密着型食品スーパーマーケット連合”を形成することでシナジー効果を高め、収益性向上はもとより関西における地域競争力の強化、企業価値のさらなる向上に取り組む。

H2Oは食品スーパーの阪急オアシス、イズミヤ、カナートを傘下に置き3社合計178店を運営。食品スーパーを中心とする食品事業の21年3月期売上高は2千811億1千600万円、営業利益41億7千万円となった。

一方の関西スーパーは、東証一部上場、大阪府や兵庫県を中心に65店舗を展開し、21年3月期連結業績は売上高1千289億7千万円、最終利益20億500万円だった。経営統合により、店舗数243店舗、売上高4千億円超の食品スーパー企業連合が誕生する。

両社は2016年に業務提携契約を締結。
主にポイントサービスの共通化、商品の共同仕入れなど一部事業で相乗効果を追求してきた。今後は阪急オアシス、イズミヤ、関西スーパー3社の調達、製造、物流、販売、店舗開発・運営、共同開発、ITシステム構築、人材関連、脱炭素・SDGsの多方面において、シナジー効果発揮に取り組む。

荒木直也H2O社長と福谷耕治関西スーパー社長は31日に会見に臨んだ。両者とも「業態間競争の激化や消費者の価格志向の高まり、アフターコロナの厳しい経営環境の中、インフラコスト、人件費増が予見され、今後業績は厳しくなることが予想される」と話したうえで、強い危機意識を持ち、一歩踏み込んだ資本関係に至ったことを強調した。

H2Oはコロナ禍で主力の百貨店事業が厳しさを増す中、食品事業を牽引車に関西ドミナント化戦略を推し進め、営業利益100億円達成を目指す。荒木社長は「今回の提携は中計の柱の一つ、『アライアンスによる事業強化』にあたり、7月に発表した万代との業務提携に続くもの。
関西スーパーはスーパーマーケット業界の草分け的存在でチェーンオペレーション力で定評がある。当社とともに各ブランドを生かして地域密着力を深め、関西の消費者の食の良きパートナーを目指したい」と抱負を語った。

また、福谷社長は「統合により売上規模が拡大するだけでなく、両社が取り組んできた地域社会との信頼関係づくりがいっそう深まる。当社は店舗の半径1~2㎞商圏において来店頻度を高める店づくりを強化しており、5年間で全店舗の4割を改装した。それがエンジンとなり現在6期連続の増収、2期連続の最高益を達成した。H2Oの一員となることで、関西で圧倒的なブランド力はもちろん、スケールメリットの活用が可能となり、当社の成長ステージがもう一段上がる」と期待を語った。


なお、統合には10~11月に招集される臨時株主総会の承認が必要。関西スーパーの株を7%保有し、6月に同社にTOBを働きかけた大株主である、食品スーパー・オーケーの今後の動向が注目される。