アサヒグループホールディングスは22年1月1日付で、日本国内の事業管理を行うアサヒグループジャパン社を設立し、現在、アサヒビールの専務取締役兼専務執行役員営業本部長を務める濱田賢司氏が社長に就任する。15日の会見で濱田氏は「グループが大きく世界で飛躍するために、マザー市場である日本でのさらなる成長を実現する」と意気込んだ。


これまで、国内の酒類・飲料・食品の各事業はホールディングス内に置かれた日本統括本部が統括し、勝木敦志社長が本部長を兼務していた。

グループでは欧州、オセアニア、東南アジアに地域統括会社を置いており、今回の新会社はこの3社と並ぶものだ。設立の狙いについて勝木氏は「厳しい事業環境の中で、国内各事業の再強化による収益性の改善」と、「サステイナビリティの取り組みをはじめ、研究開発・調達・生産・マーケティングといった領域でシナジー創出や価値創造へ向けて、事業を横断して推進する体制を担う」を挙げる。

国内ではこれまで「個々の事業は順調だった」(勝木氏)というが、今後は海外との間でもシナジーを効かせることが課題といい、「ホールディングスでやるよりも、外に出してシナジーを生むべき」(同)と判断した。

濱田氏は新会社・新社長の使命として次の3点を挙げる。

一つ目は、「日本事業の企業価値向上と持続的成長を率いるリーダーシップ」だ。横断機能を徹底的に集約してシナジー創出を図り、後方支援部隊の役割を果たしたいといい、人材活用、グループ横断でのデータの利活用の促進、IT基盤の創出やバックオフィス部門の集約などを実施するとする。

二つ目として、「人を重視する経営」を掲げる。デジタル化、標準化が進むほど価値創出のために「人の重要性が増すと考えている」と語り、多様な個がぶつかり合い、創意工夫が内発的に生まれてくる組織を目指したいという。

三つ目は「サステイナビリティへの取り組み」だ。事業に組み込むことで未来の社会から評価されるグループを作りたいとし、すべての活動に根差す根幹の思想として浸透させることを目指す。

新会社は200人強の人員でスタートし、コスト削減効果は精査中だ。


濱田氏を新社長に起用した理由について勝木氏は「アサヒビールでのバリュー経営への変革、組織改革、ヒット商品の牽引役など手腕を発揮した」ことなどや、「グローバルプラットフォームの構築に貢献した人物」であることを挙げ、期待を寄せた。
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