
直営の喫茶店を多数展開する小川珈琲は、情緒感を前面に押し出したパッケージの期間限定コーヒーが好調。
同商品は、パッケージで「春」「夏」「秋」「冬」の季節を表現したもので、今年、その勢いを加速させるべくパッケージを刷新し、2月に発売された「春珈琲」を皮切りに順次切り替えていく。
「相場高騰でコーヒーの価格が上がると、なおさらコーヒーはお客様にとって価値あるものでなければならない。期間限定では今回磨きをかけて価値を表現した」(村上祐一第二営業部長)と語る。
デザイン刷新された小川珈琲の期間限定コーヒー「春珈琲」と「夏珈琲」

昨年、京都市内を中心に喫茶店「イノダコーヒ」を運営するイノダコーヒ(本社・京都市)と業務提携契約に向けた基本合意書を締結して9月に新発売した「京都イノダコーヒ」ブランドの販売好調を受け、今年、そのラインアップを拡充した。
キーコーヒーの田中正登志R&Dグループグループリーダーは「コロナ禍になって、コーヒーショップや喫茶店のコーヒーの味わいを家庭でも楽しみたいニーズが高まってきている。この流れと高級感のあるイノダコーヒブランドの強さが掛け合わさり店頭で非常によい効果を生み出している」と期待感をにじませる。
3月1日に新発売したのは計6品。
昨年9月に発売開始した「京都イノダコーヒ オリジナルブレンド」(180g粉)と「同モカブレンド」のレギュラーコーヒー2品に簡易抽出型コーヒー「ドリップ オン」シリーズ2品を追加し、リキッドコーヒーと有機コーヒーのカテゴリーで2品ずつ新商品を投入した。

中でも「一際伸びているのはレギュラーコーヒーの粉と豆。
ネスレ日本が、スターバックス家庭用商品と他ブランドとの併買率を調べたところ「他ブランドとの併買なし」が78%を占め、認知経路を調べると店頭がトップであることが判明。
これを受け、店頭でのブランド訴求を強化していくため、スターバックス家庭用商品全品にスターバックスカラーとされる緑色を基調とした新パッケージを採用して今春から発売している。

この中で「森彦の時間」は、AGFと北海道で喫茶店「森彦」などを営むアトリエ・モリヒコとの協業によって19年に誕生したブランドで売場にじわり浸透している。今年は、アイス飲用の提案として「森彦の時間」から「アイスコーヒーブレンド」(160g粉)を新発売した。
同商品は「森彦」本店で提供されている急冷式のアイスコーヒーを志向した深煎りとなっており「具体的にはどっしりとした深い苦味と後味のキレのよさを実現した」(味の素AGF社の江村治彦リテールビジネス部長)という。

同ブランドの店舗やEC以外での展開は今回が初めてで、コロナ禍の外出自粛で外食チェーンや老舗喫茶店の名前を冠したショップブランドの引き合いが強まっていることを受けた動きとなる。
UCC上島珈琲嗜好品マーケティング部の赤石朋氏は「店頭をみると、豆や粉といったカテゴリー別での展開だけではなくて、ショップブランドでコーヒー棚をつくる動きも多く見受けられる」と語る。
この背景については「お客様がコーヒーを飲みものとしてではなく、コーヒーを淹れる時間や飲んでいるときの寛ぎの時間・空間を楽しみたいというニーズからショップブランドが拡大している」との見方を示す。
他のショップブランドとの差別化については「カフェラテなど洋風イメージを前面に押し出したショップブランドが多い中で、『上島珈琲店』はレトロとモダンが融合した喫茶店寄りのイメージでユニークな価値が提供できると考えている」と胸を張る。

カテゴリー別では、袋(豆)が19.9%増(26億1000万円)と最も高い伸びをみせ、ドリップコーヒーなどの個包装も4.7%増(242億7000万円)と拡大した。
ボリュームゾーンの袋(粉)は2.1%減(271億3000万円)となったものの、コロナ前の19年と比べると7%程度拡大している。
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