
即席みそ汁市場は15年以降毎年市場が拡大し、21年の市場規模は800億円に達した。利便性がシニア層を中心に見直され、メディアによる健康訴求も市場拡大を後押ししている。
市場構成は変化しつつあり、生みそタイプが徐々にシェアを下げる一方、FDみそ汁が日の出の勢いで伸長。昨今はFDブロックの多食タイプが人気だ。
この即席みそ汁も一昔前までは、冷夏でもなければ夏場は売れなかった。流れが変わったのは18年で、この年は梅雨明け直後から猛暑となり、天気予報時に気象予報士から「熱中症対策に一日一杯のみそ汁」という呼びかけがあり、みそ汁が脚光を浴びた。即席みそ汁も販売好調に推移し、この頃から有力メーカーより「夏も売れる」という声が出始めた。
今夏はここまで異常な暑さが続いている。東京都心は6月25日から9日連続で猛暑日を記録。全国の熱中症による救急搬送と死者は6月として過去最多になった。
昨今はFD多食が人気。「毎日のおみそ汁」(永谷園)熱中症対策は水分と塩分の上手な補給がポイントになる。みそ汁は水分と塩分を同時に取れ、具材に野菜や海藻を入れればビタミン・ミネラルも補給できる。冷房のきいた部屋であれば夏でも温かいみそ汁をおいしく飲むことができる。
塩分を気にする人もいるが、みそ汁一杯の塩分は約1.2gで、一回の食事に一杯飲むのなら厚労省が示す塩分摂取量を上回る心配はない。カリウムが多く含まれる野菜やきのこを具材に入れればナトリウムは体外に排出される。昨今は大きな野菜具材がたっぷり入った商品も増えている。
