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2024海苔年度の国内養殖は産地で明暗が分かれ、九州有明は佐賀・福岡が伸びなかった。
一方、瀬戸内海では漁期後半に寒い時期が続いて海水温が低下し、降雨もあり海況が大幅に改善、大量に生産できた。「海苔が伸びる音が聞こえる」と漁師が言うほどだった。
1月時点では45~47億枚にとどまる懸念を抱いていたが、最終的には59億枚。瀬戸内の増産で予想が大きく裏切られた。
韓国の水揚げは日本の3倍以上=200億枚超。干しのり入札会の平均単価は昨年17.19円に対して今年は16.28円。
韓国の海苔は通常、1枚当たり2.2~2.4gほど。日本向けには3.0~3.2gで製造してもらっていた。原料不足と価格高騰が続く今年は、価格を抑えつつ枚数を確保する方法として日本側から2.6~2.8gでの製造を依頼した。韓国の通常品よりも厚いが「3gは必要ない」との判断だ。
中国産も価格が上昇しており、今年の入札会では11.50円ほど。輸入関税1.5円とその他経費を足すと13円50銭~15円で、日本の平均単価24円よりも安い。
コンビニ、スーパー、回転寿司などでの引き合いも強く、安価な中国海苔のユーザーは増えている。輸入枚数も増えて普及が進むと思う。
今年は、佐賀・福岡では昨年の反省を生かして海水温の低下を待って種付けするはずだ。そうすれば漁期のスタートは遅くなる。
漁期が短くなる中、秋芽網・冷凍網の2期作に対する不要論も起こるだろう。本来は12月・1月の一番寒い時期に取れる冷凍網の一番摘みが最もおいしいが、もし冷凍網をなくせば一番摘みのチャンスは1回だけになる。そうすれば百貨店などで取り扱う良質な海苔が半減するかもしれない。
漁期終盤に瀬戸内が豊作だったことで、来漁期は単価が大きく下がるだろう。転換点になることは間違いない。