昨年、12月上旬に行われた有明海の秋芽網初回入札では、前期よりも良い作柄に安堵する声がいくつも聞かれた。佐賀有明のブランド海苔「有明海一番」の認定品も2箱のみだが出品されるなど好スタートを切った。
しかし、12月下旬の第2回入札から質が著しく低下。
年が明けると、佐賀有明が1月下旬の共販を中止。福岡有明は栄養塩があまりに少ないため冷凍網の出庫を遅らせ、1月下旬と2月上旬の2度中止することを決定。この時点で2年連続の不作が決定的となった。
気候変動を前期不作の要因に認めながらも「あくまで数十年に1度の事態」として、今期の生産回復を期待する業者が多かった。2年連続の大不作が業界に与えたショックは大きい。
全国漁連のり事業推進協議会によれば、3月15日時点の全国総共販枚数は40億枚(前年同期40億枚/前々年同期57億枚)で、平均単価21.79円(前期18.64円/前々期12.23円)。佐賀有明8億6千万枚(8億枚/15億5千万枚)、福岡有明5億7千万枚(5億4千万枚/12億8千万枚)、熊本有明7億5千万枚(7億1千万枚/8億5千万枚)で、前期とほぼ変わっていない。
今年の価格改定も有明の状況を待って、6月の実施が多数となった。昨年は規格変更を行わずに棒上げとした海苔メーカーが大半だったが、今年は値ごろ感を失わないように規格変更を行う企業も多い。各社の改定内容は以下の通り。
▽白子 6月から。
▽大森屋 6月から。家庭用海苔製品全般の希望小売価格を12~26%改定する。値ごろ感を維持するため、一部規格変更を実施する。
▽浜乙女 6月から。
▽ニコニコのり 6月から。対象は家庭用海苔製品約100アイテム。流通への卸価格を10~22%改定する。
▽永井海苔 5月からの実施。対象は海苔製品ほぼすべて。平均20%ほどとした。規格変更も一部行う。
そのほか、松谷海苔、浦島海苔(日本海水)も値上げの方向で検討を進めている。