「サントリー天然水」×果実の組み合わせ拡大 有糖2品のヒット受けて無糖の炭酸水に挑戦 皮ごと絞った混濁の果汁で満足感創出
永野芽郁さんをデザインしたPOPシール
 サントリー食品インターナショナルは、「サントリー天然水」と果実を組み合わせた2品の有糖飲料のヒットを受け、この組み合わせを無糖の炭酸飲料へと広げる。

 3月26日、無糖炭酸飲料に挑む新商品として「サントリー天然水 FRUIT-SPARK グレフル&レモン」(FRUIT-SPARK)を新発売した。


 3月19日、取材に応じた平岡雅文ブランド開発事業部課長は「『サントリー天然水』の清冽な天然水のイメージにすこやかな果実を組み合わせた有糖飲料がヒットし、今度は砂糖が入っていなくてもおいしいと感じる無糖炭酸飲料へのチャレンジをする」と意気込みを語る。

 「FRUIT-SPARK」は、グレープフルーツとレモンの果汁が入った無糖の炭酸飲料。皮ごと絞った混濁の果汁により、複雑で厚みのある味わいでありながら、天然水を使用した無糖炭酸ですっきりとした後口が特長となっている。

 「『サントリー天然水 スパークリング レモン』と比べて10倍の量の果汁を使用している。果実のおいしさが入ることで、無糖でも飲み応えがある製品になった」と胸を張る。

 商品の開発には、炭酸飲料市場の無糖化の流れも受けている。


 同社は以前、微糖の炭酸飲料を開発していたが、その結果は芳しくなかったという。
 「“有糖炭酸から無糖炭酸への架け橋になるような商品を作る”のが元々の考えだが、結果をみると、お客様は“どちらも飲む中で無糖を飲むことが増えた”実態が浮き彫りになり、微糖のニーズがあまりみられなかった」と振り返る。

 “架け橋”ではなく“引き算”に見えてしまったのも問題だったという。

 「微糖の炭酸飲料は、理屈では架け橋になるが、満足度がついてこないことで有糖からの引き算に見えてしまった。例えばコーヒーの微糖は甘さが控えめな分、コーヒーの満足感が上がるが、炭酸飲料では甘さを引いただけになってしまった」と振り返る。

 そこで、“無糖だが満足感のある炭酸飲料”を新開発。
満足感があり、ポジティブな気持ちで飲める新たな無糖炭酸飲料として打ち出していく。

 「海外では明るくポップな世界観のフレーバー炭酸水があるなか、日本ではストイックな炭酸水が市場を占めており、飲用するときもストイックな気持ちで飲むことが多い。そこに対して、味わいとしても満足感を上げながら、もっと前向きに楽しく飲めるという情緒的価値も含めて無糖炭酸の領域を広げるチャレンジになる」と語る。

 甘くないことや無糖が以前にも増してプラスの価値が見出される傾向に商機を見出す。

 平岡課長は「糖分がなくてもいい、と無糖をプラスに捉える方が増えているため、製品パッケージでも無糖の文字を大きく入れてプラスの価値として見せている。コミュニケーションも含め、前向きで楽しい無糖という価値設計をしていく」と意欲をのぞかせる。


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永野芽郁さんをデザインしたPOPシール 3月26日から公開している新TVCMでは、俳優の永野芽郁さんとタレントの武藤敬司さんを起用。ピクセルアニメーションを使用したポップな世界観で、炭酸の爽快感や果実の味わいを表現している。

 「FRUIT-SPARK」の開発のきっかけとなった有糖飲料のヒット商品は、「きりっと果実」シリーズと「サントリー天然水 特製レモンスカッシュ」の2品。

 特に人気を博し大きき伸長しているのが「きりっと果実」シリーズの「オレンジ&マンゴー」。他の果汁入り飲料と比べて購入者に特徴があるという。
 「通常の果汁入り飲料と比べると、お茶・水・炭酸水などの無糖カテゴリーからの流入が非常に多い。
飲用者を見ても、『なっちゃん』などは女性や親子が中心となる一方で、『きりっと果実』は大人の男性の方にもお飲みいただいている」と説明する。

 糖を避ける“避糖化”の潮流の中でも、「サントリー天然水」と果実の組み合わせはこの限りではない可能性が浮上。

 「無糖化が進むなかで、“たまに甘いものを飲むならおいしいものを飲みたい”というニーズが大きくなっていると考え、透明よりも色がしっかりついたおいしい飲料を展開している。天然水の清冽さと、果実の甘さとすこやかさによって、お客様が“これだったら飲んでもいい”と思いやすくなっているのではないか」との見方を示す。

 同様の理由で、「サントリー天然水」に混濁レモン果汁を加えた「サントリー天然水 特製レモンスカッシュ」も好調という。「有糖の領域ではこの2品がしっかりとポジションを確立しているため、引き続き拡大させていく」と話し、昨年に限定品で出した「きりっと果実 ピンクグレープフルーツ&マスカット」も定番化する。