同地域では震災以降地域水産品の減産が続いているが、陸上養殖により特産品の事業復興のモデルケースづくりを目指す。
「まつも」は日本全国に生息するが、近年絶滅の恐れが高いとされている海藻。三陸地域では高級品として好まれ、高値で取引されているが、震災以降収穫量が減り続けていた。現在は市中に出回る機会が少なくなっており、食品としての存続すら危ぶまれている。
同社は「まつも」の陸上養殖を事業化し、安定供給を目指すことを目的に「SEASON -Seaweed Specialty Store-」 (阿部将己代表)を設立した。
施設で収穫された「まつも」養殖の実用化は、「閉鎖式エアーリフト法」を用いて種苗の陸上養殖で研究成果を持つ北里大学、理研食品との取り組みによるもの。
「まつも」の年間収穫量は、地域全体(宮城・岩手・青森)で震災前は2~3tだったが、現在は200kg程度にまで落ち込んでいた。SEASONの阿部代表は「スタートアップの現段階は乾燥重量で約30kg。今後年間1tにまで拡大したい」としている。
収穫された「まつも」は、近域で収穫された海藻類とあわせ、オリジナル商品「三陸海藻バター」などとして販売中。また卸販売では、都内のホテル大手からも「まつも」に加え、他の海藻の供給も依頼されている模様だ。
今後の展開について同社では、地域水産業の後継者不足や海水温上昇による水揚げ量の減少などの課題解消に向け、陸上養殖技術の向上と収穫物の加工販売を強化していく方針。
海藻原料の生産から最終製品の販売まで一気通貫したビジネスモデルを構築し、地域水産業の振興を目指す。
なお今月19日には、宮城県南三陸町にアンテナショップ「SEASON cafe&shop」を開設した。