舞台「珈琲いかがでしょう」ヒロイン役の太田奈緒「客席で一緒に珈琲の香りを味わってほしい」

本作はコナリミサトによるコミックを舞台化したもので、2021年には中村倫也主演でテレビ東京にて実写ドラマ化もされた人気作。太田は丁寧、誠実、義理や人情に厚いOLの垣根志麻役を演じる。

――アイドルを卒業して３年半。今回の舞台ではヒロインを演じますが、卒業後からこれまではどのような活動をされてきたのでしょうか？

太田　女優として映像に出させていただいたり、舞台に上がらせていただいたり。もともとこの世界に入ったのもお芝居がしたかったからなので、今、こうやってお仕事をさせてもらって、うれしい環境にいるなと思いますね。グループと違ってひとりでやっていると責任感もすごい感じるし、少しずつですけど成長できているのかなって。

――じゃあ順調ですね！

太田　先日、OGとしてAKB48チーム８のコンサートに出させてもらってたんですよ。すごく素敵なチームだったなと思うのと同時に、卒業生として活躍している人がいるって思ってもらえるように、もっともっと頑張りたいなって思いました。

――そんな太田さんが出演する舞台「珈琲いかがでしょう」は、移動珈琲屋の店主が悩める人々の心を一杯の珈琲で癒す物語を描いた群像劇。タイトルにもあるように珈琲が作品のキーワードのひとつとなっていますが、太田さんは珈琲はお好きですか？

太田　実は、ちゃんとした珈琲はこの舞台が決まってからデビューしました。それまではカフェに行っても苦いからってカフェラテばかり頼んでいたんですけど、顔合わせの時に実際にバリスタもやっている礼役の花陽みくさんに珈琲を入れてもらったんです。そこで初めて珈琲がおいしいと思って、喫茶店でも頼むようになりました。

太田奈緒

――ちなみに何の珈琲を入れてもらったの？

太田　コピ・ルアクって幻の珈琲で、猫の排泄物から作られたものなんです。それを聞いたときは味がまったく想像できなかったんですけど、飲んだ瞬間に香りが"ぽん"って広がって、珈琲の世界に入った感じでした。

――すごく贅沢な体験をしましたね。

太田　今回の共演者には珈琲好きの方がたくさん集まっていて、稽古の休憩時間とかも豆から引いて、コーヒーを飲まれていたり。そういうのをしたことないから、ちょっと興味が湧いてきて、先輩方に教えてもらおうかなとか。セリフでも珈琲に関する用語がたくさん出てくるので、どんどん詳しくなっちゃいますね。

――舞台には実際に珈琲の移動販売車が登場するんだとか。

太田　店主の青山さんが珈琲を入れるシーンがあるんですけど、実際に豆から挽いて、珈琲を入れるんですよ。

太田奈緒

――客席で珈琲の香りを感じることができる舞台って素敵ですね。

太田　今回の舞台と北千住のカフェがコラボしていて、特別にブレンドした珈琲が飲める特典もあるので、ぜひ楽しんでもらいたいです。

――舞台はやってみてどうですか？

太田　ひとつの作品を稽古期間から話し合いながら作り上げていく感じが、すごく好きだなって思います。公演ごとに同じセリフでも感情の乗り方とかも違うし、お客さんの反応が直接感じられるし、やっていてすごい楽しいです。

――この先挑戦してみたいことはありますか？

太田　ドラマとか映画だったりとか、もっと映像作品の方にも出演できたらなっていうのはありますね。もちろん舞台は好きだから今後も続けていきます！

太田奈緒

――ちなみに、「こんな役を演じてみたい！」というのはありますか？

太田　『アンフェア』の篠原涼子さんや『SP』の真木よう子さんみたいな、かっこいい系に憧れます。アクションシーンもやれるようになりたいです。それと堤幸彦さんが監督する『ファーストラヴ』を見たんですけど、芳根京子さんが演じた女子大生役がすごい好きで。

――どんなところが印象に残ったんですか？

太田　自身が経験した壮絶な過去の出来事を吐露するシーンがあるんですが、見ていてすごい鳥肌が立つというか、その迫真の演技がすごい自分にとって衝撃的で、同じシーンだけを繰り返して見ちゃうぐらいでした。私もああいう演技をしてみたいなぁと思いましたね。

――いつかそういう役を演じる太田さんを見てみたいです。最後にあらためて舞台の見どころを。

太田　心が疲れていたり、自分の中で葛藤や悩みを抱えている人がこの舞台を見たらどこかで共感できたり、背中を押してくれる言葉が聞けて、心が動かされる舞台だなって思うんです。鑑賞後はコーヒーを飲んだ後みたいな、ほっこりした気持ちになれると思うので、ぜひ見に来ていただきたいですね！

太田奈緒

■舞台『珈琲いかがでしょう』は5月17日（水）～21日（日）東京・シアター1010にて。詳しい情報は公式ホームページをチェック！　

取材・文／関根弘康　撮影／山下 隼