衆院選は『大阪冬の陣』の様相に!? 吉村知事と横山市長、「同...の画像はこちら >>

どさくさの中で誕生した自維連立政権だが、自公時代のような選挙協力は行わない見通しだ

衆議院解散・総選挙へとなだれ込むなか、日本維新の会が大阪都構想を再燃させている。吉村洋文大阪府知事と横山英幸大阪市長が辞任し、都構想を争点とする出直し選挙を総選挙にぶつけるという奇策に打って出た。

二度も有権者から「NO」を突きつけられた都構想を意固地に蒸し返す背景には、政権与党入りしたのに不祥事続きで支持率が伸び悩み、総選挙での苦戦が予想される中、瓦解したはずの構想を抗争の火種として衆議院の議席獲得につなげようという水際の延命策との指摘が出ている。

【身内からも批判噴出】

「意味が分からない...」

突如降ってわいたダブル選挙に、身内からも批判が噴出している。1月15日、維新で顧問を務める前原誠司氏はこのように述べたうえで、昨年10月の自民との連立合意でかわされた副首都構想の法制化を俎上に載せ、

「災害時のバックアップ機能としての副首都と、都構想は別の話。大阪以外の人間には意味が分からないし、理屈が分かりにくい」

と苦言を呈した。

都構想に反対し続けた他党も当然、批判を強める。自民党の大阪市議団の森山禎久幹事長は、

「維新は『身を切る改革』と言っているが、選挙には多額の費用がかかる。市民にとって意味がなく、付き合う必要がない」

と突き放した。

大阪市を廃止して大阪府に統合する都構想は、2015、20年の住民投票で否決されている。20年の住民投票で敗北した際、吉村知事は

「政治家として、都構想に挑戦することはもうない」
「僕たちが掲げてきた大阪都構想はやはり間違っていたと思う」

と涙目で観念した様子をみせていた。翻意に至った経緯について、全国紙大阪社会部デスクが解説する。

「吉村知事は住民投票連敗後も事あるたびに都構想に向けた住民投票の実施を訴えていて、横山市長らと三度目の正直を狙って時機を模索していました。こうした中、解散・総選挙の流れが沸き起こったことで、総選挙と同日に実施すれば経費も多少は浮くので『経費の無駄遣い』といった批判に抗弁できるのでダブル選挙に打って出た。

吉村知事は総選挙における維新の代表という立場だけでなく、知事選の候補者としてメディアに露出できるので、特に関西準キー局で出演する機会が増えて、維新の票の掘り起こしにつながる。ただでさえ関西のテレビ局は維新との距離が密接で、批判報道はしないですから。

一方で、維新は金城湯池の大阪を死守するために自民と選挙協力をしない方針ですが、総選挙の結果次第では吉村知事の代表としての責任が問われる事態にもなりかねない。小選挙区でもいくらか勝算がある大阪以外の関西で確実に勝ち切るために、吉村知事の参戦は重要となってくるのです」(全国紙大阪社会部デスク)

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吉村知事の露出といって思い出されるのは、高市早苗首相に先立って解散・総選挙を言明したこと。この理由について、政治部記者は以下のようにみる。

「首相の専権事項である解散について、高市氏よりも先に口にしたのは、両者のすり合わせがあってのことだが、政権与党のパートナーという立場を強調する演出です。総選挙でも遊説先にタッグで登場して笑顔で並び立つといったかたちで、高市人気を踏み台に維新のアピールに躍起になることでしょう」(政治部記者)

【都構想固執は党の宿命】

「勝つまでジャンケン」「あきらめが悪い」との批判を受けても、都構想に執念を持たす維新。在阪の維新関係者は次のように指摘する。

「国会議員ではないのに政権与党の代表として国政に関与する吉村知事には、『衆議院議員に転身するべき』という声が党内にまで上がっている。ただ、大阪府知事の椅子を明け渡して一代議士になれば、発信力や存在価値が弱まる。大阪に専念するという理由付けに、都構想の実現に向けて奔走する姿は不可欠なのです」(維新関係者)

前出のデスクは冷ややかに語る。

「大阪の府市統合の経済メリットはたかがしれていることが前回の住民投票で明らかになり、都構想は頓挫しました。

それでも、改革政党としてのイメージを保持しつづけるためには、何かに挑んでいるかのようにパフォーマンスを続けねばならない。

それが、自民と取り交わした衆議院の定数削減だし、最たるものが都構想なのです。都構想をあきらめれば、自民との差異がなくなって消滅の危機に瀕する。絶えず泳ぎ続ける回遊魚のように、都構想を訴えなければいけない宿命なんです」(前出デスク)

政権与党入りから3か月。支持率は上がらず、藤田文武共同代表による秘書の会社への2000万円支出問題や国保逃れといった問題を抱える中、"大阪冬の陣"を迎える維新。ダブル選挙を伴う総選挙は党勢への追い風となるのか、それとも大寒波か。これまでの活動の是非が、有権者から問われる。

文/山本優希 写真/日本維新の会公式X、iStock

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