レアル・マドリードが、同クラブに所属する元スペイン代表FWルーカス・バスケスとの契約延長交渉をスタートさせた模様だ。スペインメディア『RELEVO』が報じている。


 現在32歳のL・バスケスは、レアル・マドリードのカンテラ(育成組織)出身の選手。2014年夏にエスパニョールへレンタル移籍へ出ると、その後完全移籍へ移行したが、翌年夏に買い戻しオプションが行使される形でクラブへ帰還した。“武者修行”へ出た1シーズンを除くと、レアル・マドリード一筋でプレーしており、これまでにトップチームでの公式戦通算で345試合出場35ゴール63アシストを記録している。

 そんなL・バスケスとレアル・マドリードの現行契約は、今年の6月30日をもって満了を迎える。現時点で新契約は締結されていないが、今回の報道によると、新たな動きがあった模様だ。

 今回、L・バスケスの代理人とレアル・マドリードの取締役会が契約延長に向けた交渉の場を設けたという。
今季をもって契約が満了するL・バスケスに対しては、以前から『マルカ』などのスペインメディアによって、他クラブからのオファーがあると伝えられてきた。だが、L・バスケス自身はレアル・マドリードへの残留を最優先しており、他クラブからのオファーは聞きつつも、レアル・マドリードの“最終回答”を待っていたという。『RELEVO』によると、クラブが自分のパフォーマンスに満足しているかどうか、そして自分がまだ最高のレベルでチームに貢献できると感じられるかどうかを確かめるため、今季終了時まで契約延長交渉を待つ覚悟ができていたようだ。

 だが、直近のL・バスケスのパフォーマンスに、クラブ側は満足しているという。史上最多記録を塗り替える通算36回目のラ・リーガ制覇を大きく引き寄せることとなった、4月21日開催のラ・リーガ第32節、バルセロナとのエル・クラシコ(○3-2)では、1ゴール1アシストに加えてPK奪取と全3得点を演出する活躍を披露。スペイン代表DFダニエル・カルバハルが累積警告により出場停止だった30日のチャンピオンズリーグ(CL)・準決勝ファーストレグのバイエルン戦(2-2)でも、右サイドバックとして安定したパフォーマンスを見せていた。


 今季はここまで公式戦通算34試合のピッチに立っているが、うち18試合が途中出場。それでも、出場すればカルバハルの代役に甘んじるには勿体ないと感じさせるパフォーマンスを見せている。また、ドレッシングルーム内でのキープレイヤーであることにも疑いの余地はなく、チームへの影響力という面でも非常に重要な役割を担っているという。

 当初、レアル・マドリード側は32歳というカルバハルの年齢だけでなく、今年7月に33歳を迎えるL・バスケスの年齢も考慮し、右サイドバックの若返りを画策していることが報じられていた。だが、今季のL・バスケスのパフォーマンスを踏まえ、この考えを改めた模様。パリ・サンジェルマン所属のフランス代表FWキリアン・エンバペ、バイエルン所属のカナダ代表DFアルフォンソ・デイヴィスらの獲得に本腰を入れ、右サイドバックは現行体制を維持する見込みだ。


 このような背景から、レアル・マドリードとL・バスケスの代理人は、1週間半ほど前に契約延長交渉の場を設け、新契約を結ぶ意思を伝えたようだ。既に両者の間には“基本合意”が存在しており、交渉が完結したわけではないものの、残留が既定路線だと見られている。

 また、『RELEVO』は直近のL・バスケスのパフォーマンスを受けて、来夏のEURO2024でスペイン代表に復帰する可能性も伝えた。FIFAワールドカップロシア2018を最後に“ラ・ロハ”からは遠ざかっているものの、スペイン代表を率いるルイス・デ・ラ・フエンテ監督、そしてコーチングスタッフ陣も、現在のL・バスケスを高く評価しているとのこと。レアル・マドリード側も招集に値する選手と認識しており、今夏に代表チームへ送り出す用意を整えているようだ。

 レアル・マドリードでは元ウェールズ代表FWギャレス・ベイル氏やスペイン代表FWマルコ・アセンシオ(現:パリ・サンジェルマン)の存在によって、本職の右ウイングでは出場機会が限定されていたが、右サイドバックとして新境地を開拓したL・バスケス。
波のない安定したパフォーマンスを武器として、来季も白いユニフォームを身に纏うこととなりそうだ。


【ハイライト動画】エル・クラシコでL・バスケスは全3得点を演出