チリ代表を率いるリカルド・ガレカ監督が、6月21日から7月15日にかけてアメリカで開催されるコパ・アメリカ2024を戦う同国代表メンバーの予備リストを発表。殺人罪で懲役9年半の判決を受け服役するも、刑務所内での模範的な態度により仮釈放され、チリ1部リーグのコキンボ・ウニードでプレーする元U-20チリ代表MFルシアーノ・カブラルがリスト入りしたことが物議をかもしている。
7日、チリメディアの『ラ・テルセーラ』が報じた。

 現在29歳のカブラルは2014年にアルゼンチン1部のアルヘンティノス・ジュニオルスでプロデビューし、レンタルでブラジル1部のアトレチコ・パラナエンセでもプレー。アルゼンチンで生まれ育ったが、チリ国籍も持ちU-20チリ代表で4試合に出場した。

 そんなカブラルが22歳だった2017年正月に事件が起きる。カブラルの父親が新年の祝賀中に発生した殺人事件の首謀者であることを自白し懲役16年の判決を言い渡され、カブラルも事件の共犯者として懲役9年半の有罪判決を受けたのだ。カブラルは事件の責任は父親にあり、自らは事件とは無関係であり無実であると主張したが、カブラルが殺人事件の現場にいたという証言などもあり、同選手はアルゼンチンの刑務所に収監されることとなった。


 しかし、カブラルが刑期の半分となる約5年を刑務所で過ごした2022年10月、服役中の態度が良好だったことも踏まえ、仮釈放処分を受けると、その2カ月後にコキンボ・ウニードスがカブラルを補強選手として獲得。すると昨季は公式戦31試合に出場し4ゴール4アシストを記録し、チームのコパ・スダメリカーナ出場権獲得に貢献。今季もこれまで公式戦15試合に出場し3ゴール1アシストと現在チリ1部リーグで3位のチームの主力として活躍している。

 そして今回、チリ代表を率いるガレカ監督が、そんなカブラルをコパ・アメリカ2024の代表候補となる予備メンバーに登録した。

 だが、犯罪に関与したとされるカブラルが、コパ・アメリカ2024の舞台となるアメリカから入局許可を得られるかなどは不透明な状況。カブラルが大会の最終メンバーに選ばれた場合でも、同選手がプレーを許可されない可能性があることから、チリ国内や南米諸国で同選手の代表の予備リスト入りが物議をかもしているようだ。


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