ナイジェリアの“シンデレラボーイ”が、プレミアリーグに挑戦する。2003年5月19日生まれのウチェは現在22歳。2022年にジブラルタル海峡を渡った同選手は、モラロのBチーム(7部相当)からキャリアを始め、同クラブのトップチーム(5部)とセウタ(3部)を経て、2024年夏にヘタフェに加入。スペイン7部からラ・リーガに駆け上がるまでに要した歳月は、わずか2年だった。
そしてヘタフェでも、自身のキャリアを象徴するように急成長を続ける。とくに、ホセ・ボルダラス監督に中盤の底から、センターフォワードやトップ下にコンバートされたことで、“強さ”と“しなやかさ”を兼ね揃えたフィジカルがより脅威を増した。昨シーズンはリーグ戦33試合に出場し4得点6アシストを記録したほか、背番号が『10』となった今シーズンも第1節セルタ戦で、1ゴール1アシストと相手守備陣を圧倒していた。
そんなウチェだが、ウルヴスへの完全移籍が決定的となったようだ。スペイン紙『アス』によると、移籍金は1600万ユーロ(約28億円)に加え、最大400万ユーロ(約6億9000万円)のボーナスが付帯しているとのこと。契約期間は2030年夏までの5年間で、今週初めにイングランドへと渡り、メディカルチェックを受けることを併せて伝えている。
また『アス』は、ヘタフェにとって「最も痛手となるニュース」としつつも、「やむを得ない決断」と指摘。というのも、ヘタフェも選手登録問題を抱えており、MFイヴァン・ネヨウやMFハビ・ムニョス、FWフアンミといった新戦力が未登録の状態だったのだ。
今年5月には、ついにナイジェリア代表デビューをも飾ったウチェ。ラ・リーガでブレイクを果たした22歳の新たな挑戦を楽しみにするとともに、大きすぎる代償を支払ったヘタフェのボルダラス監督が、どのようにその穴を埋めるのかにも期待しよう。