9月末から10月にかけては、Uー20ワールドカップが行われる中、今回のメンバーには海外組4名が招集。小杉啓太(ユールゴーデン/スウェーデン)、保田堅心(ヘンク/ベルギー)、塩貝健人(NEC/オランダ)、後藤啓介(シント・トロイデン/ベルギー)と20歳以下の中心選手もメンバー入りすることとなった中、予選突破以上にオリンピックに向けた強化の意味合いは非常に強い。
山本昌邦ナショナルチームダイレクター(NTD)は、「他の国がU23で出る中で、我々は2つ下で出て、しっかりと選手を育成してきた。そして8大会連続でオリンピックに出場しているという、選手の成長と強化を考えてのこと」と、今回2つ下の世代で臨む理由について説明。「近年の成績ではウズベキスタンが我々の1つ上にいて、我々がポットで言うと2つ目となり、イラク、サウジアラビアと続いていき、韓国がその下にいる形です。ポットを見ると、この大会がいかに重要かということが認識してもらえると思います」と、ロサンゼルスオリンピック予選に向けてもしっかりと結果を残していきたいと語った。
『ラージ100』というテーマを掲げる日本サッカー協会(JFA)。山本NTDは「100人規模の『ラージ100』をテーマに、100人の代表として誰が出ても戦える選手層を作ろうということで、いろいろな仕掛けをしてきました」と語り、「ロス五輪から逆算もしている中で、まだ諦めたわけではないです。U20ワールドカップに向けて粘るつもりですが、選手にとってはどちらの大会にも出られないということが、『ラージ100』の視点でいくと問題になってしまうので、まずはここでしっかりと代表に来てもらい、アイデンティティをしっかりと植え付けてもらいたいと思います」とコメント。招集に強制力がない中で、いかに国際経験を積ませて成長を促せるかをポイントとし、今回のメンバー選考を行ったとした。
大岩監督になってからは、7月にウズベキスタン遠征を実施。Uー22サウジアラビア代表に5ー1、Uー22ウズベキスタン代表に2ー0と連勝で終えていた中で、まだまだ選手への浸透は時間がかかると大岩監督は語る。
大岩監督は2024年のパリオリンピックでもチームを指揮し、グループステージで3連勝をおさめて首位通過。しかし、準々決勝でのちに金メダルを獲得するスペインに0ー3で敗れて敗退となっている。2大会連続でオリンピックを指揮することとなり、世代が変わる中でのチーム作りについては「時間的にはほぼ3年、最終予選までは2年半ぐらいですが、その中でパリオリンピックを経験したのはスタッフだけでしかいません。スタッフも当時を経験した上で、レベルアップをしていかなければいけないですし、選手に求めるもの自体が、サッカー界でいう一番高いものでなければならないです」と、継続して臨むスタッフ陣が重要であるとし、「いかにこの年代、ポストユースの年代の選手たちに落とし込むかという作業を、経験を経て、グループとして戦うというリアリティを持ったものに変化させていきたいと思っていますし、パリの時も言いましたが、いつも同じメンバーで戦えるわけではないので、いつ来ても同じような基準の高いプレーを求めたいですし、より洗練されたグループにしていきたいです」と、高いレベルを出し続けられる大きな集団を作っていきたいと意気込んでいる。
また「2年半、3年かけてどのレベルまで高めていけるかわからないですが、1回1回の活動をしっかりと重要な認識を持って活動することで、選手たちに成長を求めていきたい」と、常に成長を求めるとし、「その上でチームがより大きなものになれば理想的ですし、何かアクシデントがあれば、それを乗り越えるだけのパワーを持ったグループ、チームにしていきたいという考えです」と、パリオリンピックでも希望の選手が招集できない事態があった中で、有事に備えてチーム力を高め続けたいとした。
悲願のメダル獲得へ。JFA側ももちろんバックアップを約束。山本NTDはパリオリンピックを例に挙げ「呼びたい候補の選手は他にも何人も居て、我々もヨーロッパ拠点があるので、彼らを中心に各クラブとかなり深い交渉をした結果、メンバーがああいった形になりました」とコメント。「本来であれば呼びたかった選手がいましたが、その評価に関しては、ヨーロッパの拠点でクラブと日常的にコミュニケーションが取れる人員を増やしていたり、選手の契約にもかかわることで、前倒ししてオリンピックに来てもらえる準備を進めたいと思っています」と、ロサンゼルスオリンピックに向けてさらに海外組が増えることを考え、先回りしていくとした。また、この世代の大きな成長力にも期待しており、「A代表と違って、一気に数カ月で自信をつけて成長していく選手がたくさんいるというところに、上手く大岩監督が火をつけてくれたり、日常を変えてくれたり、刺激を与えてもらっていると思っているので、これを全力で我々がサポートして、誰でも呼べるようにしたいと思いますが、誰が呼ばれても同じ力で戦えるぐらいのロス五輪を逆算して、準備していきたいと思います」と、『ラージ100』を推し進めてしっかりと全体でレベルアップしていきたいと語った。
ただ、最大の目標はSAMURAI BLUE(日本代表)のワールドカップ優勝。大岩監督は「戦術的な要素で言えば、比較的似ている形で進めようとは思っています」と選手の育成の方針について言及しながらも、「ベーシックなところはこの年代は上げていかなければいけない。試合に出場していない、途中出場が多いという中で、チームで与えられているタスクと、我々のグループに来た時に先発で出ること、厳しい海外の選手たちと戦うこと。選手のポテンシャルというものは、より上げていかなければいけない年齢だと思います」と、ポストユース世代の難しさにも言及。「刺激を与えることが使命」としながら、「いろいろなことを自分たちの力にしながら強く、巧く、速く、ベーシックなものが高いチームにするための毎回の活動をやっていきたいと思っています」と、しっかりと成長を促していきたいとした。