遮熱加工のタープって涼しいの?遮熱加工なしタープとキャンプ場で比較実験!遮光タープよりも効果あり⁉

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【概要】遮熱加工が施されたタープと遮熱加工なしのタープで、幕の温度やタープ下の温度がどう変わるのか比較実験レポート。

キャンプシーンで注目の遮熱性に優れたタープ、その実力は?

5年ほど前より、タープ選びの条件に「遮熱性」を加えるユーザーが増えている。

確かに日差しがやわらぎ、炎天下でも涼しく過ごせるという遮熱加工のタープだが、本当に効果はあるのだろうか? 遮熱加工なしのタープとどう違うのだろう?

今回使ったのはロゴスの「Tradcanvas ブリッジソーラーヘキサタープセット-BB」(遮熱加工あり)と、「LOGOS ナバホ Tepee ブリッジヘキサタープ-BB」。

高さはナバホのほうが低いものの、幕のサイズは同じ。これを同時に設営して地表温度と幕の温度を調べてみた。

比較したのはこの2タープ!

ロゴス Tradcanvas ブリッジソーラーヘキサタープセット-BB(2万7000円)

遮熱加工のタープって涼しいの?遮熱加工なしタープとキャンプ場で比較実験!遮光タープよりも効果あり⁉
画像1: ロゴス Tradcanvas ブリッジソーラーヘキサタープセット-BB(2万7000円)

ロゴス独自の「ソーラーブロック加工」を搭載!

はっ水、防水、難燃、UVカットという定番機能に加え、ロゴス独自のソーラーブロック加工を施した高機能ヘキサ。6節スチールフレーム、ペグ、張り綱、ハンマー付き。

遮熱加工のタープって涼しいの?遮熱加工なしタープとキャンプ場で比較実験!遮光タープよりも効果あり⁉
画像2: ロゴス Tradcanvas ブリッジソーラーヘキサタープセット-BB(2万7000円)

難燃性バルキーポリの内側に、熱と光を吸収するソーラーブロックコーティングを施しており、熱を帯びた日差しを遮断。幕自体は熱いものの、タープの下には涼やかな空気が流れている。同サイズのナバホとほぼ同じ重量なのもうれしい。

ロゴス LOGOS ナバホ Tepee ブリッジヘキサタープ-BB(1万9000円)

有害紫外線を90%ほど遮断するUV-CUT加工済み!

定番ヘキサに見えるが、両側に大型グロメットを備えることで、同シリーズのワンポールテントと連結できるモデル。4節のスチールポール、ペグ、ハンマー、張り綱付き。

日光のなかでも肌や目に刺激のある紫外線に着目。UVカット加工を施すことで有害紫外線を90%ほど遮断する。遮熱加工ほどではないが、断熱効果ももたせている。カラーリングはロゴスならではのスタイリッシュなデザイン。

タープ下の気温を測ってみた!

計測日は、日なたの地面40.2℃、風速は最大6m/s

この日の気温は、最高気温21.9℃とされていたが、日なたの地面温度は40.2℃。風速は2m/sで、最大風速は6m/s。

真夏というよりは、心地よい初夏のキャンプといった気候だった。

おおよそ50cm離れた場所から計測

遮熱加工のタープって涼しいの?遮熱加工なしタープとキャンプ場で比較実験!遮光タープよりも効果あり⁉
画像: おおよそ50cm離れた場所から計測

タープの下に立ち、50cmほど離れたところから、放射温度計でタープの内側と地面を計測。3~5カ所、場所を変えて測ってみた。

驚き(⁉)の計測結果は……!

遮熱加工のタープって涼しいの?遮熱加工なしタープとキャンプ場で比較実験!遮光タープよりも効果あり⁉
画像: 驚き(⁉)の計測結果は……!

日なたの地面の温度 40.2℃

遮熱加工ありのタープ内側 49.5℃
木漏れ日+遮熱加工ありのタープ内側 27.7℃
遮熱加工ありのタープ下 20.0℃

遮熱加工なしのタープ内側 29.4℃
遮熱加工なしのタープ下 26.4℃

遮熱加工ありタープは幕が熱を蓄える!

それぞれの「幕」の温度を測ったところ、遮熱加工ありのほうが20℃ほど高温だ。

遮熱加工ありのほうが涼しく感じるのに、高温になるとは……まさか温度計が壊れているのかと思い、地面の温度を測ると遮熱加工ありのほうが5℃以上涼しいという結果に。

遮熱加工は熱エネルギーの侵入を低減する加工のため、幕が熱を蓄えていたのだ。

風向きは考慮せず設営。定番タープは風が抜けやすく、遮熱加工ありタープは風が通りにくい角度。それでこの結果なのだから、同じ向きにすればもっと差が出たに違いない。

ちなみにUVカット加工を施したタープがあるが、遮熱加工は赤外線に対応するもので、UVカット加工は紫外線に対するもの。似て非なるものと覚えておきたい。

熱をため込むけれど地面は涼しい!

遮熱加工のタープって涼しいの?遮熱加工なしタープとキャンプ場で比較実験!遮光タープよりも効果あり⁉
画像: 熱をため込むけれど地面は涼しい!

影の濃さに注目! 影の濃さが大きく異なっており、影が濃いほうが断然涼しい! これが遮熱加工のすごさだ。“遮光”加工も赤外線に近い波長をカットするので涼しいが、やはり“遮熱”とうたった加工のほうが効果は歴然。

TIPS 木陰はなぜ涼しいの?

遮熱加工のタープって涼しいの?遮熱加工なしタープとキャンプ場で比較実験!遮光タープよりも効果あり⁉
画像: TIPS 木陰はなぜ涼しいの?

幹や葉っぱが、強烈な日差しが地面に届くのを遮ってくれるのはもちろん、葉の蒸散作用も大きい。葉は水分を蒸発させ、その気化熱で葉の温度上昇を抑えているのだ。このおかげで木陰は建物の陰よりも涼しい。

タープの一部にでも木陰があるとより涼しくなるし、風上に木陰があれば、冷やされた空気がタープの下を通り抜けるというわけ。

結論!
遮熱加工はスゴイ! 風上に木陰があればなお効果大

日なたの地面の温度に比べて、UVカット加工で約15℃、遮熱加工なら20℃以上も温度は低くなる。遮熱加工はダテじゃない。

木陰がないサイトでも、風上に森があり、冷やされた空気がタープを通り抜ければ、より涼しく過ごせるとわかった!

※数値は編集部調べ。記事内の温度データは一例であり、タープの設営場所や当日の天気によって異なります。 

文:大森弘恵 
出典:GARVY2022年8月号

※当記事は、GARVY2022年8月号巻頭特集「夏キャンプの最適“快” 暑さ対策」の記事を再編集したものです。

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