スーパーマーケットの成長が続いています。全国における売上は25.5兆円にものぼり、百貨店の4倍以上という大きな市場にまで拡大。
スーパーの成長の大きなカギを握る要因はいくつかあり、セルフレジやクレジットカードの導入、ネットスーパーや配送サービスの広がりが貢献しているとされていますが、最もわかりやすく注目されているのが、スーパー独自のプライベートブランド(PB)商品ではないでしょうか。いまでは8割以上のスーパーでオリジナル商品の取り扱いが展開されています。
PB商品の魅力は、卸売り業者を介さないことで価格を安く抑えられること。高品質でユニークな商品を開発することでスーパー独自の個性をアピールしやすいことにあります。最近ではこの強みを生かした商品がどんどん登場し、ヒット商品が生まれているのです。

そこで今回は、スーパーマーケット研究家(国内外のスーパー3000店以上をリサーチ)の立場として、心から感動した“うなるほどウマいPB食品”を厳選してご紹介してみたいと思います。


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①イオントップバリュ

“3000店のスーパーを知る”マニアが明かす「うなるほどウマいPB食品」4選
「リングイネ アッラ プッタネスカ エ ガンベリ」753円(写真上)、「スパゲッティ コン スゴ アッラ テラマーナ」753円(写真下)
冷凍パスタの価格帯は通常200円~300円台が主流ですが、このイオントップバリュ×バリラの冷凍パスタシリーズは、1人前753円というとびぬけた高級品。なんとサイゼリヤのパスタよりも高く、当初は感動よりも驚きの方が大きかったのが正直なところです。

これらは、イタリアの老舗パスタブランドであるバリラとイオンが共同開発したプレミアムな冷凍パスタシリーズ。なかでもオススメは、「リングイネ アッラ プッタネスカ エ ガンベリ」。イタリア中部、ローマを擁するラツィオ州やイタリア南部、ナポリを擁するカンパーニャ州が発祥とされているトマトベースのシーフードパスタ。断面が楕円形で平たい形状をしたパスタ「リングイネ」を使用し、ソースにはケッパーやアンチョビが使われています。

ソースの風味や香り、茹で立てのような麺の食感は食べてみればすぐに実感できるでしょう。
“冷凍パスタの極み”としてお試しいただきたい逸品です。

②ライフ

“3000店のスーパーを知る”マニアが明かす「うなるほどウマいPB食品」4選
「ライフプレミアム そのまま飲んで美味しい贅沢なあご入りおだし」861円(写真左)、「ライフプレミアム 旨みとだしが自慢の贅沢な濃厚つゆ」473円(写真右)
続いては、だしとめんつゆ。これまでに全国各地のPB商品をたくさん実食してきましたが、どんな料理シーンにも活躍してくれる総合力に秀でているのが、ライフのPB商品です。ライフには4つのPBがあり、素材・製法にこだりおいしさを追求した「ライフプレミアム」のシリーズで、「ライフプレミアム そのまま飲んで美味しい贅沢なあご入りおだし」(861円)と「ライフプレミアム 旨みとだしが自慢の贅沢な濃厚つゆ」(473円)は、我が家の定番になっています。

鹿児島県枕崎産の鰹枯節、熊本県産のうるし節、北海道産の真昆布など産地指定のこだわり海産物や、兵庫県産の赤穂の焼塩などの国産素材をブレンドして作られていて、遠赤外線でじっくりと焙煎することで、あご (トビウオ)の旨味とコクを引き出しています。だしパックは煮出して使うだけでなく、袋を破いて中身を調理に使うのがオススメ。だし粉をたっぷり使った炒飯は絶品です。


③紀ノ国屋



“3000店のスーパーを知る”マニアが明かす「うなるほどウマいPB食品」4選
「紀ノ国屋 貴腐ワイン漬けレーズンバター」929円
続いては、高級スーパーマーケットの老舗である紀ノ国屋から。紀ノ国屋は2010年にJR東日本の完全子会社となったことで駅周りの店舗が増え、オンラインショッピングでも多くの商品が購入可能になっています。紀ノ国屋PBの中で強い個性を見せるのが、ジャム。他スーパーにはないこだわりのフレーバーが大充実しています。私のオススメは、貴腐ワインを浸漬させたレーズンに加糖練乳やバターを加えたスプレッド「紀ノ国屋 貴腐ワイン漬けレーズンバター」(929円)。

トーストに乗せて食べるだけで、一気にハイクラス気分になること間違いありません。お酒に合わせてクラッカーに添えたり、豚肉料理に添えるのも最高で、普段の食料品の中にこのスプレッドを組み合わせるだけで、食卓が格上げされることでしょう。


スーパーのPBジャムといえば、リンゴバターブームを作り出したツルヤ(長野を拠点にプレミアムなPB作りで全国にファンを持つローカルスーパーマーケット)が有名ですが、紀ノ国屋も負けていません。

成城石井

“3000店のスーパーを知る”マニアが明かす「うなるほどウマいPB食品」4選
「沈菜館 イイダコの海鮮キムチ 230g」971円
最後にご紹介するのは、最近ますますPB開発力で注目される成城石井から。明確にPBというラベルはないものの、成城石井でしか手に入らない贅沢キムチ「沈菜館 イイダコの海鮮キムチ 230g」(971円)です。キムチは同店が以前から力を入れているカテゴリーの一つで、デパ地下の韓国総菜を製造、韓国レストランを運営する東亜トレーディングが製造する商品が多くそろっています。

なかでもこの海鮮キムチは“おひとり様ひとつ”というしばりができるほど大ヒット。午後になると売り切れていることもありますが、最近はだいぶ購入しやすくなっています。
食べてみると甘みと旨味が効いていて、おかず感覚で食べることができます。オススメの食べ方は、あつあつのごはんに乗せて、温かいダシをかけてお茶漬けのようにして味わうスタイル。一度食べたら病みつきになるので、ここぞという時のご褒美キムチとして覚えておくのが良いでしょう。

<TEXT/スギアカツキ>

【スギアカツキ】
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。世界中の健やかな食文化を追求。
女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)が好評発売中。Twitterは@sugiakatsuki12。