デビュー5周年を迎えた日向坂46が、5月8日に新曲「君はハニーデュー」を発売した。
 今作ではグループ初となる選抜制を採用。
そのセンターに抜擢されたのが、4期生の正源司陽子だ。’22年9月に5万人超のオーディションから選出され、日向坂46の4期生として加入した。「普段はすっごいゲラなんです」というほど天真爛漫な性格だが、ステージに立つと表情がガラッと変わり、17歳とは思えない堂々としたパフォーマンスを見せる彼女。

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 今回のインタビューでは、新体制のセンターに選ばれた心境から「正源司」のルーツまで、日向坂46の未来を担う正源司陽子の魅力に迫った。

パフォーマンスは「始まったら終わってるという感覚」

――4月5日に1期生の齊藤京子さんの卒業コンサート、6日・7日は日向坂46の5周年記念ライブと3日間におよぶ節目のイベントを終えた心境から教えてください。

正源司陽子(以下、正源司):京子さんとは昨年の夏に日向坂46のYouTubeチャンネルの企画で原宿デートをして。それがきっかけになって、他の先輩たちとも私から話しかけられるようになったんです。
京子さんに王道アイドルでもありつつ、個性的な魅力がたくさんあって憧れの先輩の一人でした。卒業コンサート当日は今までのご恩をお返しできたらという思いでしたし、最後のドレス姿もとても綺麗でした。

 そして、「ひな誕祭」の1日目と2日目はファンの方の前で「君はハニーデュー」のお披露目がありました。リハーサル期間、夜中に何度も目覚めてしまうぐらい緊張していたんですが、本番は振り返れば先輩や同期がそばで支えてくださって心強かったですし、心身ともにリラックスした状態で臨めました。自分の中でも大きく成長できたと感じられる2日間だったと思います。

――正源司さんはステージ上で音楽が流れると顔つきや雰囲気が一気に変わると思うんですけど、パフォーマンス中の記憶はあるんですか?

正源司:実はまったく覚えてなくて、始まったら終わってるという感覚なんです。
あとで映像を確認して、「やった気がするな」っていう。ステージでは本当に没頭して夢中になっているんだなと思います。

齊藤京子に背中を押してもらった

――初日の卒業コンサートでは、齊藤さんの卒業曲「僕に続け」で齊藤さんのすぐ後ろを正源司さんが歩くという演出もありました。

正源司:本当に光栄でした。「君はハニーデュー」のMV撮影のときに、京子さんと楽屋で一緒になるタイミングがあったんです。その頃の私は、今回のシングルが初めての選抜制で私がセンターポジションになることを伝えられた後だったので、心の情報処理が追いつかずに一人になってしまうことが多かったんです。そんな私を見ていた京子さんが「陽子ちゃんならやれるって信じてたから、センターって聞いたときにすごく嬉しかったよ」と、背中を押してくれる言葉をくださってすごく救われました。
そういう欲しい言葉を的確にくださるのが素敵なところだと思っていました。

――その的確な言葉の中で、一番嬉しかった言葉は覚えてますか。

正源司:「雰囲気が可愛いね」って言われたときにすごく嬉しかったのを覚えています。個人的に、正源司の良さはこれだと言語化されてしまうと、それを失ったときに自分の良さもなくなってしまうんじゃないかという怖さがあって。ファンの方には、「正源司陽子というアイドルの良いところ、推せる部分はどこなの?って言われたときに答えられないんだよ。でも、なんか好きなんだ」と仰ってもらえることが多いんです。
私はそれで良いというか、感覚的に好きになっていただくことは、「今のままでいいんだ」と思えて揺るぎない自信になるので。

――言葉では言い表せないほうが成長を感じられている。

正源司:はい、そういう実感があります。

4期生は諦めない強い気持ちを持ったメンバーが揃っている

日向坂46・正源司陽子、センター抜擢に「齊藤京子さんに救われました」
11枚目シングル「君はハニーデュー」 日向坂46 正源司陽子
――ひな誕祭のラストでは4期の代表挨拶で、「恵まれている環境の中でも、自分たちが思っていることが伝わらなくてすごく悔しかったこともあった」と仰っていました。具体的にはどんな葛藤があったんでしょう。

正源司:ライブやイベントなどで、けやき坂46や日向坂46の楽曲を4期生だけでパフォーマンスさせていただく機会もあるのですが、嬉しい気持ちと同時にプレッシャーも感じていて。そういう中でも、4期生にかけていただいた期待や先輩方に失礼がないように全力で取り組んで披露したときに、散々なことを言われてしまって悲しい思いもしてきました。

でも、それで私たちの心が折れてしまうのか?といわれたら、それをバネにして見返そうとするぐらい諦めない強い気持ちを持ったメンバーが揃っています。それは4期生の強みだと思っているので、そこを潰さずに大事に育てていきたいです。

――4期生の中では正源司さんはどんな役割なんですか?

正源司:マネージャーさん曰く、「おふざけキャラ。楽屋ではずっと一人で喋ってる」らしいです(笑)

――でも、こういう一人での仕事だと人見知りの性格が出ちゃう。

正源司:そうなんです。陽か、陰かって聞かれたら、わりと陰なんですけど、自分のテンションで周りの方の気持ちを下げたくないので、現場では意識して上げてるといったら嘘にならない部分はあるんですけど(笑)。
ただ、日向坂46のメンバーはこんな私のことを受け入れてくださっているので、自由気ままに過ごさせていただいてます。

――自由度が高いっていうのは代々続く日向らしさかもしれないですね。

正源司:そう思います。私は年齢が下から2番目っていうのもあって、話し合いのときに意見はあるけど言いづらいかもっていう感じがあったんです。でも最近は、みんなの性格や考え方がわかってきたので、以前より密度の高い話し合いができていると思います。

「正源司」のルーツは中国から来た朝廷の音楽部隊らしい

――正源司さんのことも教えてもらいたいのですが、初見の人はまず名字のインパクトに驚きますよね。調べたら日本国内に数十人しかいないそうなのですが、「正源司」の由来とか調べたことってありますか?

正源司:父から軽く聞いたのは、正源司の系譜を辿ると中国から来た朝廷の音楽部隊に所属していた横笛担当の人らしいんです。たしかに中高は吹奏楽部でフルートを担当してましたし、どこか血の繫がりが関係あるかもしれないと思ったり。ただ、うちの父はわりとホラ吹きなので、私をからかっているだけなのかもしれないです(笑)

――小さい頃からたくさんの習い事をされていたんですよね。

正源司:月曜日はピアノ、火曜日は水泳、水曜日は習字、木曜日はピアノ、金曜日に習字、土曜日に空手、日曜は休みでした。週6出勤みたいな感じで。友達と遊び暇もなくて、学校が終わったら走って帰ってました。

――1番長く続けた習い事はどれですか? 

正源司:空手で約7年です。小学1年生から中学1年生の秋ごろまでやっていました。段を取って終わろうと思って、初段です。両親からは「一度始めたものは形になるまでやりなさい。人生で絶対に損はないから」という精神教育で育ったので。私はそれが当たり前だと思っていたのですが、今となってはすごく恵まれていたんだなと感じています。

日向坂46・正源司陽子、センター抜擢に「齊藤京子さんに救われました」
11枚目シングル「君はハニーデュー」 日向坂46 正源司陽子

“お嬢様”は違うけど“ぽんこつ”は合ってます

――正源司さんは自分のことを「箱入り娘」って言ってたので、親御さんも自由に育てたのかなと思ったのですが、そうでもなさそうですよね。

正源司:名前からそういう発想をされる方はいらっしゃるんですけど、ごく普通の家で育ちました。

――「実は芦屋育ちのお嬢様」っていうネットの噂は届いてます?

正源司:知ってます(笑)。芦屋生まれの正源司って、お嬢様だろ!って言われてますけど、全然違うので申し訳ないです。

――日向坂46の番組では、“ぽんこつ”とイジられてますけど、それに関しては?

正源司:それは合ってます、非常にぽんこつです……(苦笑)。勉強も苦手ですし、運動神経も悪いですし、取り柄といったら目の前のことに全力になれることぐらいなので。

私を見て童心にかえってくださる方がいたら嬉しい

日向坂46・正源司陽子、センター抜擢に「齊藤京子さんに救われました」
11枚目シングル「君はハニーデュー」 日向坂46 正源司陽子
――周りの先輩たちからは可愛がられそうです。

正源司:恥ずかしいんですが、甘やかされてるなっていう実感はあります。とくに1期生の(加藤)史帆さんはずっと「よーこ~、よーこ~」と名前を呼んでくださって。最近は私も後ろから抱きついて動かないんですけど「私にこんなに懐いてくれた後輩は初めて!」と仰ってくれているので、私の日向坂46でのお姉さん的ポジションは史帆さんです。

――齊藤京子さんはグループ在籍時に“国民的彼女”といってましたけど、そのポジションを継いでほしいとかなかったですか?

正源司:彼女感は出せないので……。おてんば娘感というか、私を見て童心にかえってくださる方がいたら嬉しいです。

自分のことを食べ物で表すなら「ゴーヤ」

――新曲の『君はハニーデュー』は好きな相手のことをメロンに喩えてますけど、自身のことを食べ物で表すとしたら?

正源司:う~ん、ゴーヤですかね(笑)。ゴーヤの苦みが嫌という人は多いですが、煮たり焼いたりすると甘味が出たり、他の野菜や具材を引き立ててくれる夏野菜。私はそこが好きなので、苦味がクセになる存在、そしてグループの魅力を引き出せるようにもなりたいです。
あと夏がすごく好きなんですけど、大抵の人は夏の好きなところは?と聞かれたら、緑が綺麗とか、爽やかな日差しとか、THE・夏っていう部分を好きになる人が多いと思うんです。でも私は、ドロドロしているような夏特有の蒸し暑い雰囲気を求めてしまうんです。そういうほかの人とは少し違うかもと感じる部分はあることに、最近気づき始めてます。

――正源司さんが日向坂46で叶えたい夢を教えてください。

正源司:私がこの世界に憧れたきっかけが、両親によく連れてもらっていた着ぐるみのキャラクターたちが童話を披露する音楽演劇舞台なんです。だから、いつか演劇にも挑戦してみたいと思っています。今は自分の夢を実現するために練習しているので、いつか絶対に叶えたいです。

――グループとして立ちたいステージはありますか?

正源司:今年9月には、宮崎県のひなたサンマリンスタジアム宮崎での野外ライブ『ひなたフェス2024』が開催されるのは楽しみのひとつですし、その先には東京ドームという明確な目標が日向坂46にはあるので、めげずに走り続けたいです!

【正源司陽子】
しょうげんじようこ●‘07年、兵庫県生まれ。’22年9月に日向坂46の4期生として加入。特技はフルート、習字(準特待生)、空手(初段)。4月30日から日本テレビにて4期生単独のTV初冠番組「日向坂ミュージックパレード」がスタートした。日向坂46が初の選抜制を採用し、彼女がセンターを務める11枚目シングル「君はハニーデュー」は全5形態。また、9月7日(土)・8日(日)に「ひなたフェス2024」を開催予定

<撮影/鈴木大喜 取材・文/吉岡 俊 ヘアメイク/Mao(MAXTAR)>