人気拡大中のサービスだけあって、利用方法はいたって簡単。代行業者と打ち合わせのうえ退職日を決め、料金を支払うと、業者が本人に代わって会社に退職の連絡をしてくれるのだ。彼らはなぜ業者にすがったのか、事情を探るべく直撃してみた。
設計職で新卒入社したが「現実はコールセンター」
新卒で上場企業の電機メーカーに就職し、関東近郊に住む吉野和樹さん(仮名・23歳)。入社から半月もたたずに、退職代行サービスを利用したそうだ。「設計の専門職で入ったのに、現実はコールセンターでした。それも修理依頼の窓口で、クレーム対応に近い。
将来性のある上場企業だったが…
内定先はコロナ禍でも着実に成長を続ける上場企業で、申し分なかった。学生時代に学んだ専門知識も生かせ、配属先も概ね希望通り。でも業務内容は「話と違った」のだ。「会社の成長スピードに人材確保が追いついていないんです。だから修理保守部門だけでは対応できず、ほかの部署の人たちも電話を取らなければならない。
人事部からの一言で、心が折れた
入社から10日後、吉野さんは電話が怖くなり、受話器を取れなくなった。仕事を休み、人事部に電話するも「もう少し頑張れないか」という言葉が返ってきただけ。その日の深夜、翌朝に出社するストレスに押しつぶされそうになりながら、退職代行業者にLINEを送った。ミスマッチは双方にとって不幸でしかない。
取材・文/週刊SPA!編集部
※4月30日発売の週刊SPA!特集「[退職代行する人]の主張」より
―[[退職代行する人]の主張]―