世の中には、率先して人がしたがらない職業がある――。生半可な気持ちでは務まらない過酷な仕事をなぜ続けられるのか。
超売り手市場の人材がすぐ辞めていく時代において、人が辞めない秘訣は、珍しい仕事現場にこそあった!
“ただ立っているだけではない”現役ドアマンに聞いた、過酷な実...の画像はこちら >>

長時間直立不動……ドアマン裏事情

高級ブティックの入り口に直立不動の姿勢で佇むドアマン。熱い日も寒い日も、ただ黙々とドアを開ける地味な作業が続く。

現役ドアマンの西山進さん(仮名・20代)は「ドアマンは、ただ立っているだけではないんですよ」と過酷な実態を明かす。

「覚えることは実は多いんです。研修では手の組み方や立ち方といった基本的な所作に始まって、綺麗なネクタイの結び方や靴の磨き方など、隅々まで指導がありました」

ドアマンの仕事の辛いところは…

やはり“外見の良さ”も雇う基準の一つなのか、 西山さんは身長183㎝、ウエスト69㎝という長身・細身の体形。日頃はモデルとして活動しながら、ドアマンとして週に3~4日ほど都内の高級ブティックに派遣される日々だ。

「以前短期バイトでドアマンをしたことがあったので、始める前はそれほど仕事に不安はありませんでした。が、いざ勤務が始まってみると、仕事の過酷さを実感しています。

最も辛いのは足腰への負担。お店の開店・閉店に合わせて11~20時ごろの通しが基本ですが、長時間ピシッとした姿勢を保つのは想像以上にキツいです。

日頃白い手袋をつけていますが、雨の日はお客さまの傘を預かって巻く決まりになっていて、寒さもこたえる。体力も神経もすり減る仕事です」

なぜドアマンを続けられるのか?

想像以上のハードさから、入っても短期で辞めていく新人も多い中で、西山さんがドアマンを続けられるのはなぜか。

「モデルの仕事をしている分、もともとポージングにこだわりがあって、綺麗な立ち方や所作を発見できた時はやはり嬉しいですね。ご来店されたお客さまに素敵な時間を過ごしていただけるように努めています」

そう語る西山さんの顔は、ドアマンらしい気品に満ちていた。


取材・文/週刊SPA!編集部
※3月25日発売の週刊SPA!特集「珍仕事の[人が辞めない]秘訣」より

―[珍仕事の[人が辞めない]秘訣]―
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