毎年、社運をかけた採用活動が繰り広げられる中、企業と入社希望者とのマッチングがうまくいかず、残念ながら入社後すぐに辞める人は後を絶たない。他にやりたいことを見出して退職する人もいれば、そうではない人もいる。
また、退職時の挨拶のクセが強すぎて周囲を驚かせた若者も……。
入社3か月で辞めた新入社員の“退職の挨拶”にア然!
「今年の4月入社した男の子なのですが、3か月で辞めてしまいました」主に鉄道の電気工事を請け負う会社に勤務する、さすらいの経理課長さん(50代・Twitter:@MiyagiSuper)。今年3月に専門学校を卒業した20歳の男性が入社してきた。
口数が少なく大人しそうだが、変わったところはなさそうな“普通の男の子”という印象を受けたという。しかし、入社後の社内研修が終わり、5月の連休が過ぎた後にいざ部署へ配属されると、数日おきに“体調不良”をうったえ、休みがちになった。
時には無断欠勤もするようになり、わずか1か月余りで有給休暇を使い果たしたという。
「会社の方も本人に対して、医者に行き診断書をもらうように……と再三促したのですが、『医者に行ってません』と繰り返すのみでした。このままこの会社に継続して勤められるかどうかを聞いても曖昧な返答しかなったですね」
新型コロナが怖くて出勤したくない、という感じではなかったようだ。
慣れない夜勤中心の勤務
しかし鉄道の工事は深夜行われることが多く、慣れない夜勤中心の勤務で体がついていかなかったのかもしれない、と会社側は欠勤したことには目をつぶった。というのも、以前、別の新入社員は、入社前まで健康面で問題なかったものの、昼夜逆転の生活に慣れず、頻繁に腹痛をうったえるようになり、やむを得ず退職してしまったそうだ。なんとか継続してもらう方法を模索していたが、男性は6月末、退社することになった。夜通し働くことが多いため、一緒に飲み行く機会はなかった。

「カントリーマアムを2袋。表向きは『ありがとうございます』という感じでしたが、周囲の反応は私を含め『えっ?』みたいな感じでした。恐らく、親から菓子くらい持って行きなさい、と言われたのだと思います。
普通であれば“菓子折り”のところ、意味を取り違えたのでしょうね……」
退職した男性は「バス運転手をやりたい」と言っていたようで、今はその目標に向かって前向きに突き進んでいるのかもしれない。
入社初日に「私には仕事が覚えられません!」と退職

「大人しそうな方でしたが、イマドキの普通の女の子でした」
入社挨拶を終え、いざ仕事開始。しかし女性はメモを取ることもなく上の空。百合子さんは「聞いているのかな?」と不安になったという。何か聞いても「はい……」という自信なさ気な返事が返ってくる。
「休憩時間に、なんで半導体の仕事に興味を持ったのか聞いてみたんです。そしたら『求人に簡単な仕事って書いてあって。でも、こんなにたくさん業務があるって聞いてなかったんです』って言われて。あんまり働きたくないのかなって思いました」
初日ということもあり、ざっと1日の仕事の流れを伝えて終わった。もともと百合子さんは初日にあれもこれも教えるのは難しいと考えていたが、あまり教える気にもならなかった。その女性は帰宅前に部長のもとに行き、会社を後にした。
しかし翌日以降、彼女が仕事場に姿を現すことはなかった。
「帰宅前に部長に『わたしにはここの仕事は覚えられない、辞めます』と伝えたそうです。まだほぼ教えてないも同然だったし、そもそも覚えてみようとしてたのか疑問でした。求人の『簡単な仕事』で応募したにしても、もう少し自分に合うか合わないか考えてみたほうがよかったと思うんですが……」
部長も「不思議な人だったね」と話していたそうで、新入社員の入社時期になると、だれもが思い出すのだとか……。
<取材・文/星谷なな>
【星谷なな】
5歳の頃からサスペンスドラマを嗜むフリーライター。餃子大好き27歳。