SixTONESの冠番組『Golden SixTONES』(日本テレビ系)が、上々の滑り出しを見せている。同番組は、『行列のできる相談所』を放送していた毎週日曜日の21時に放送されていて、同枠は23年ぶりにリニューアルされた。

4月6日放送の初回ゲストは明石家さんまで、サプライズゲストとして木村拓哉が登場。各メディアが大きく取り上げて、ロケットスタートを切る形となった。すでに放送開始から1ヶ月が過ぎようとしている『Golden SixTONES』の魅力と、今後の展望を、元テレビ局スタッフの筆者が解説していく。

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『Golden SixTONES』はどんな番組なのか?

『Golden SixTONES』は、同局で2024年9月と2025年元日に放送された『Game of SixTONES』をベースとしている。番組は、「童心にかえって全力で遊ぶ60分」をキーワードに、メンバーが豪華ゲストを招いてゲームで盛りあがる内容。これまでの放送では、落下物を当てる「動体球児」、ゴルフボールなどを縦に重ねる「ツンデツンデゲーム」、さらに特定の物がスッポリとハマるのかを当てる「サイズの晩餐」など、さまざまなゲームを展開。この他、ゲストの好物に合うタレをメンバーが作るクッキングバトル「タレだけレストラン」といった、新感覚の企画が多く放送されている。

日本テレビが本気を出して『Golden SixTONES』を人気番組にしようという気概を感じる。撮影しているセットの時点でかなり豪華だ。ゴールデン帯のバラエティ番組だから当然、という声もあるだろうが、各局が経費削減する中での話。日本テレビが番組を猛プッシュしていることがわかる。

アイドル番組らしくない構成

通常であれば、主役のSixTONESが「どれだけ輝くか」を主体に企画を練るが、実は少し違う。例えば、4月13日放送回ではゲストの坂上忍がゲームでも大暴れし、画面に映ることが多かった。さらに、4月20日の放送ではゲストの鈴木亮平の半生を振り返る「鈴木亮平テスト」で多くの時間を使った。
アイドル番組らしくない構成ではないか。

あくまでゲストをたてる演出に終始し、SixTONESのメンバーはおもてなしする立場をキープ。その上でおもしろい企画を成立させている。「鈴木亮平テスト」に関しても、メンバーは回答などでボケを連発し、SixTONESファンが見ても、そうでない一般の視聴者が見てもおもしろい作りだった。

無理にSixTONESを持ち上げない演出は、どこか同局の『ザ!鉄腕!DASH!!』に似ている。ファン向けの番組にしなかったのは、ファインプレーだといえる。

大ヒット番組になる可能性も

田中樹はMCとしての技量が高く、多くの企画で進行を担当。さらに、同じく司会・進行をするのが髙地優吾。この2人が番組を引っ張る立場だ。ともにバランスの良いMCで、お笑い芸人が助っ人で進行を務めることもあるが、放送回数が増えるにつれ徐々に田中・髙地体制が盤石になっていくはずだ。

一方で、俳優仕事の多い松村北斗、森本慎太郎は、それぞれが他のメンバーと違うキャラを演じている。松村がボケに回れば、森本はまじめにゲームに参加するなど棲み分けを実施。気持ちの良いテンポ感を生み出すことに成功している。
この2人は、ゲストで訪れる俳優との共演も多いので、相乗効果を生み出す機会も増すだろう。

そして、京本大我は天然ボケ、ジェシーはギャグやモノマネで番組の骨格を作り上げていく。特に、ジェシーはトーク力も高いので、番組になくてはならない存在になっている。

6人ともにキャラの被りがなく、バランスが良いのはプラスポイント。かつてSMAP、嵐がバラエティ番組で躍進したのは、個性がバラバラだったから。先輩たちに通じるバランス感覚をSixTONESにも感じてしまう。メンバーとともに『Golden SixTONES』が成長する予感がするのだ。

日曜劇場に勝てる番組になるのか?

さて、問題は裏番組にTBS『日曜劇場』があるという点だ。今シーズン放送している『キャスター』も、初回から2桁視聴率をキープしている。果たして、『Golden SixTONES』は『日曜劇場』に勝てるのか? 現状では、残念ながら太刀打ちできない。

ただ、まだ勝機はある。打倒『日曜劇場』への足がかりは、『ザ!鉄腕!DASH!!』、『世界の果てまでイッテQ!』からの縦の流れの構造である。両番組ともにまだまだ人気は衰えない。
視聴者をつなぎとめる施策が打てれば、『Golden SixTONES』の視聴率も健闘し続けられるのではないか。

テレビ視聴データを保有するスイッチメディアの調べでも、『ザ!鉄腕!DASH!!』、『世界の果てまでイッテQ!』はコア視聴率(13歳から49歳)、Z世代(12歳から28歳)の視聴率がかなり高い。ここに、『Golden SixTONES』が加われば、『日曜劇場』から若い世代の視聴者を根こそぎ奪うことができる。若年層の視聴者をまず奪うことからはじめれば、いつの日か追いつけそうだ。

『24時間テレビ』次第でさらなる飛躍が

今年の『24時間テレビ』にも注目したい。8月30日(土)、8月31日(日)に放送されることが決定し、総合司会は上田晋也、羽鳥慎一、水卜麻美(日本テレビアナウンサー)が務めることが決定。メインパーソナリティの制度は昨年から撤廃されているが、今年はチャリティーパートナーという形で、芸能人の参加が予定されている。この、チャリティーパートナーにSixTONESが選ばれれば、番組の知名度向上も図れるだろう。

加えて、『SMAP×SMAP』や『嵐にしやがれ』は、メンバーがドラマや映画でブレイクして人気が高まった歴史もある。そういった意味では、話題作に出演している松村のブレイクが、番組大ヒットの手助けになるかもしれない。松村の人気を考えれば、そう遠くない話だと予想する。

メンバーの実力、番組の構成のおもしろさなど、ヒット番組になる準備はできている。
令和を代表するバラエティ番組になる可能性を秘めた『Golden SixTONES』が、どんなキッカケで人気を高めるのか、今から楽しみでならない。

<TEXT/ゆるま小林>

【ゆるま小林】
某テレビ局でバラエティー番組、情報番組などを制作。退社後、フリーランスの編集・ライターに転身し、ネットニュースなどでテレビや芸能人に関するコラムを執筆
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