退職代行サービスの実際の利用者は…
会社に退職の意思を伝える手間や精神的な負担を軽減できるのは魅力的な一方で、「後ろめたい」「同僚に迷惑をかける」と考える人もいるだろう。「無責任な人」が利用しているイメージも強いが、退職代行サービス「スマートヤメマス」を運営する立花将人氏は、「利用者の多くは責任感の強い人」と明かす。「『会社に辞めたいと伝えているのになかなか退職させてくれない』と、泣く泣く相談に来られる方が多い。なかには何年も我慢して働いた結果、上司の前に立つと言葉が出なくなると涙ながらに訴える方もいました。
退職が決まった後も自分の仕事を最後までまっとうされる方も中にはいて『逃げ癖がつく』と言われているような、軽はずみな気持ちで利用される方はほとんどいないことが私自身、この事業を始めてみて改めてわかりました」
退職代行サービスの利用時に考えられるトラブル
会社を辞めたくても辞めさせてくれない人にとって、退職代行サービスは大きな助けとなるが、いわゆるブラックな社風の会社と揉めることはないのだろうか。「私自身、依頼者の会社とやり取りをしていますが、いまのところ恨み節を言われたことはありません。原則、退職は誰にでも認められている権利です。真っ当な退職代行サービスから連絡があった場合は、止められないことを認知している会社も増えているようで、粛々と手続きに応じてくれている印象です」
退職代行サービスを利用したことが周囲にバレるのも不安だが、立花氏は「その可能性は低い」と指摘する。
「確かに田舎の狭いエリアや、同じ業種で転職活動をすると人づてに伝わる可能性はありますが、そうでない場合はバレる可能性がかなり低い。あるとすれば、自分から周囲に話してしまったり、SNSなどに投稿してしまったりしたときです。SNSは特定されるリスクもあるので、知られたくないのであればそういった投稿はしないしたほうがいいでしょう」
後悔しない退職代行サービスの選び方

「一口に退職代行サービスといっても、大きく4つのタイプに分類できます。数がいちばん多いのは“労働組合提携型”ですが、サービスの内容によっては弁護士法違反(非弁行為)となる可能性があり、昨年から問題視されています。
会社をただ辞めるだけなら弁護士に相談する必要はないので、民間企業が運営する“民間企業型”にお願いするといいですよ。うちもこのタイプに分類されますが、真っ当なサービスを行っているところは弁護士と密に連絡を取り合っているので、安心して利用できると思います」
退職代行サービスを利用するときは、どれくらいお金が必要かも気になるところ。
「相場は2万円から3万円ですが、なかには5000円で全部引き受けますよという格安なところもあります。
弁護士にお願いしたほうがいいケースも
また、会社とのトラブルを抱えていて弁護士と相談したい場合は、「退職代行サービスとは別に弁護士に依頼したほうがいい」とも。「たとえば、パワハラやセクハラをされたので訴えたい、未払の給与や残業代があるので請求したいといったケースです。こういったトラブルは一部を除き民間の退職代行サービスでは解決できませんので、解決したい場合は弁護士と相談してください。
また、自分に落ち度があってトラブルに発展するケースも考えられます。たとえば、会社の備品を壊したのに黙っているといった場合ですね。会社から訴えられる可能性もあるので、こうしたケースでも退職代行サービスではなく、弁護士を頼ったほうがいいといえます」
【黒田知道】