全国で活躍するコピーライターやCMプランナーの団体「東京コピーライターズクラブ」(TCC)が選出する新人賞における最高位の賞『TCC最高新人賞』ほか複数の賞を受賞するなど、広告業界で数々の賞を受賞した有名コピーライターである日下慶太。実は10年以上にわたり「U活」と呼ばれる未確認飛行物体、UFOの召喚活動に勤しみ、今では「コンタクティ」(UFOと通信できる存在)と称され、全国各地で男の呼びかけに“何か”がやってくると話題だ。
そうした全国各地でUFO観測会を実施し、時には単独で、時には仲間を募ってUFOを呼ぶ「U活」(※1)に勤しむUFO召喚者の日下慶太氏に今回SPA!取材班がインタビューを敢行。7月某日、青森県三戸郡の田子町にある大黒森山の山頂で開催されていたUFO観測会にも参加させてもらい、未確認飛行物体を動画に収めることにも成功したのだった。
「あ! あれ、UFOじゃないの? ほら! あそこ!」
参加者たちが叫ぶなか、実際にUFOを呼んでもらうことにした。参加者のひとりである岩手県・一戸町観光天文台の吉田偉峰台長によって飛翔体が「飛行機や衛星情報はありません。未確認飛行物体です」と認定されると、さらなる歓声が上がる。なぜこの男はUFOを呼べるのか。そして、この男の宇宙的発想はどこからくるのか。未確認飛行物体を一緒に探しながら、彼に話を聞いた。

「U活」を始めたきっかけ
――「U活」を始めたきっかけについて教えてください。日下:大学卒業後、大手広告代理店に入社しコピーライターとしてバリバリ仕事をしていました。いくつかの大きな賞(※2)もいただきましたが、やはり広告というのはどうしても「相手ありき」の世界なので、だんだん息苦しくなってきて。そんななか、体を壊して2か月間入院し、そこから第1子の誕生、妹の死、父親の病気、母親の死と、2年弱の間にさまざまなことが立て続けに起こったんですよ。
――それは大変でしたね。
日下:今になって知りましたが、精神世界的には、こうしたことが続く時は大転換を意味しているようです。PCで例えるならOSが変わったというか……心のままに生きる人生へのシフトチェンジのような感覚でした。
――なぜ、UFO探索だったのでしょうか?
日下:僕は、人生には“スタンプカード”があると思っているんです。例えば彼女ができる、結婚する、海外に行くなど、何かをクリアするごとにスタンプが押されるようなイメージ。最後には「死ぬ」という枠に押されるのでしょうが、僕のスタンプカードは「新しい経験」を重視する傾向が強いようで。ある時にふと「UFOを見る」という枠が空白のままだな、じゃあ呼んでみよう!となったわけなんです。
――そこからどのように「U活」を始めたのですか?
日下:最初は、まだ会社員だった頃の’12年ですね。大阪の新世界市場というシャッター商店街で開催されたアートイベントに参加した際、UFOを呼んでみることにしたんです。宇宙人に仲間だと思ってもらうために遮光器土偶の扮装もして。といっても当時は呼び方がわからず、映画『未知との遭遇』(※3)に登場する5音を流してみたりね。
――宇宙人の代名詞であるグレイではなく、土偶?
日下:グレイは舶来のイメージですからね(笑)。日本古来の宇宙人のイメージを考えたら、土偶だったわけです。
“UFOって意外と簡単に呼べるんだな”って
――最初は来なかったんですね。初めてUFOを「呼んだ」のはいつくらいでしょう?日下:それからすぐ後のことです。別のアートイベントに誘われて、その会場の一つである能勢妙見山のことをリサーチすると、そこは北辰信仰(※4)の地で、星の王様が降りてきたという伝説があったんです。これはUFOを呼ぶしかないと思いました。でも、やはり皆目見当がつかず、例の5音を流したり、僧侶に読経してもらったり、神主に祝詞をあげてもらったり、宇宙へのラブソングを作って歌ってもらったりしましたね。

日下:実はイベント中に、縦に並んだ4つの信号のような光の列が現れました。イベント終了後にその話をしたら、複数の人間が同じ光を見ていたことがわかり、UFOは来ていたのだという確信に変わりました。それが初めての召喚体験です。
――意外と早かったですね。
日下:ええ、もうのっけから呼べてしまったわけです。それから、どうやら音楽は効果的なようだとわかり、UFOを呼ぶためのバンド「エンバーン」(※5)を結成しました。大阪の繁華街の雑居ビルにあるライブハウスで演奏したところ、オリオン座のあたりに4体出現しました。
――なかでも特に印象に残っている体験は?
日下:いちばん強烈だったのは、高知県にある巨石群の近くへキャンプに行った時ですね。家族旅行も兼ねて行ったのですが、星よりも白い光がぐるぐると円を描いて回っていました。妻も友人も一緒に目撃したんですよ。
――それはすごいですね!
日下:その後も僕ひとりで観測を続けていたところ、今度は別の角度の空に10体ほどのUFOが出現しました。これはすごいとひとしきり観測した後、寝袋に入って就寝したのですが、近くでウーンウーンと機械音がしたと思ったら「乗るか?」という呼びかけが聞こえてきまして……一度は承諾しましたが、帰ってこられなかったらどうしようと考えた途端、すべての現象が消えてしまいました。今となっては悔やまれるばかりです。
――千載一遇のチャンスだった。


――U活には音楽以外にも、条件というか、心得のようなものはありますか?
日下:田舎の展望台など静かで見晴らしがよい場所が最適です。星が見やすい時がいいので、天気がよく、新月など月明かりが少ない時がいいです。
――信じていないと出現しないのでしょうか?
日下:U活で最も大事なことは、そこにいる全員が宇宙人やUFOを信じる友好的な感情を持つこと。これさえできれば、UFOはきっと来てくれます。
――小誌取材陣が参加した大黒森山のU活でも、UFOらしき物体がいくつか出現しましたね。
日下:みんなで手を繋いで「ヤッホーUFO」「エン! バーン!」といった言葉を、声を合わせて唱えると、それがエネルギーとなって宇宙へ放出されるんですよ。途中、寒さや熊出没の危険性からちょっとテンションが下がりましたけどね。
――そういえばその直後くらいに、UFOらしきものが出現したような……。
日下:最近の夜空には、数多くの人工衛星や飛行機が飛んでいるので、見分けるのがなかなか難しい面もある。点滅は飛行機、点滅しないけど一直線に動くのは人工衛星だと認識しておくのも大事です。といっても僕自身も、これまで何回も間違えてますからね。最近は天文学の専門家と一緒に観測したり、衛星予測サイトと照らし合わせています。

世界平和のためにUFOを呼び続ける
――U活を通じて、ご自身の中で何か変化はありましたか?日下:まず、びっくりするぐらい、さまざまな人とどんどん繋がっていきます。そして、言葉のやり取りはなくても、願ったら来てくれるという関係性をUFOと築くことができたと僕は感じているのですが、その経験から「ひとりじゃない」「宇宙に生かされている」という気持ちが強くなったことで、考え方が謙虚になりましたね。あと、広い宇宙の中で、こんなふうに生きているのは恵まれているんじゃないかと思うようになりました。
――今後のU活で、目標とするものはありますか?
日下:「あなたのミッションは楽しい場をつくって宇宙人の存在を知らせること」と、宇宙人の声が聞こえる何人かに言われました。それが与えられた目標として、僕個人としては、人間はどこから来てどこへ行くのか。その答えを知りたいんです。人間、および神は宇宙から来たのではないかという仮説を立てていて、それを検証しています。あと、今の地球はいろいろキツいので、宇宙人が救ってくれないかなあと、“他力宇宙本願”的な願いもあります(笑)。
いかにいがみ合っていても、UFOに関してなら、地球人は一つになれそうじゃないですか。でも本来ならば自分の星は自分でなんとかしなくては、ですよね。地球を救うためのヒントを探しているのかもしれません。そう、大きな目標は世界平和。
ふと思い立ったときから、いつしか多くの人を巻き込んで広がったU活。今日も日下氏は夜空に向けてラブコールを送り続けている。
【日下慶太プロフィール】
1976年、大阪府出身。電通を経て独立、コピーライター、写真家として活動。著作に自伝的エッセイ『迷子のコピーライター』(イースト・プレス)、U活の記録をまとめた『採U記』(ケンエレブックス)など。UFO写真集を出版するのが夢。U活情報は日下氏のX(@keitatata)をチェック
日下氏が提唱するUFO召喚活動。晴れた日の夕方から深夜にかけてUFOを見たいという気持ちの人々が集まり、その思いを宇宙へ放出することでUFOを呼ぶというもの
(※2)いくつかの大きな賞
全国で活躍するコピーライターやCMプランナーの団体「東京コピーライターズクラブ」(TCC)が選出する新人賞における最高位の賞、TCC最高新人賞ほか複数の賞を受賞
(※3)映画『未知との遭遇』
1977年に公開された、スティーブン・スピルバーグ監督による人類と宇宙人のコンタクトの様子を描いた作品。その中で「レ・ミ・ド・ド・ソ」という5音を宇宙人との交信に使っている
(※4)北辰信仰
北極星を神格化した妙見大菩薩を信仰する宗教的な思想。妙見山の山頂にある「能勢妙見山眞如寺」には星の王様(北極星)が降りてきたと伝えられている
(※5)エンバーン
日下氏が’15年に結成したUFOを呼ぶバンド。メンバーは総勢12人で、オリジナル曲は10曲あり、歌詞はすべて日下氏が作詞している








取材・文/和場まさみ 構成/安羅英玉 撮影/対馬慎太郎 協力/LODGE COWBELL Takko Cafe
―[インタビュー連載『エッジな人々』]―