実は、数々の食にまつわる資格を持ち、メディア出演だけでなく、商品プロデュースやライターとしても幅広く活動している人物なのだ。インタビュー前編では、“激辛英才教育”を受けた生い立ちや、現在の活動について語ってもらった。後編では、最新の激辛トレンドや激辛番組の裏側、さらには世界の激辛事情を聞いていく。
進化する激辛トレンド「定番料理×○○の融合系グルメが熱い」
――最近の激辛グルメのトレンドはいかがですか?金成姫:麻辣湯のブームは長いですよね。痺れ系の辛さが定着してきたなと思います。最近の激辛グルメで注目しているのは、定番料理に意外なものを掛け合わせた融合系の料理です。例えば、激辛麻婆豆腐✕焼きそばとか、トムヤンクン✕もんじゃ焼きとか。
皆が想像できる、安定した美味しさというベースがありながら、意外性もある。想像できるけど新しいというグルメに人気が集まっているように思います。
融合系グルメは、テレビなどメディアからも引き合いが強いですね。絵的にわかりやすいうえに、ぱっと見で「あ、これは新しい」とわかるので重宝されます。
見た目の問題は激辛業界の難しいところでもあって。例えば、ブートジョロキアの粉末って結構オレンジがかったパウダーなんです。
テレビへの店舗紹介は面白いけど大変

金成姫:テレビへの店舗紹介は面白いけど難しいですね。ゲキカラドウの場合ですと、ストーリーに合った店を探すのではなく、店ありきで脚本を考えるんです。
テーマがあると探しやすいですけど、条件が幅広い。加えて、ただ激辛を出しているだけではダメで、ロケがOKか、撮影に適したスペースがあるかなど、制約も多い。
テレビでお店を紹介するのは大変ですけど、お店の方から喜んで貰えるのはとっても嬉しいですね。
「心臓が飛び出るくらい緊張した」番組は…
――有識者としてテレビ出演もされていますよね。金成姫:印象的だったのは、坂上忍さんと古舘伊知郎さんと千原ジュニアさんに、スタジオで、激辛の魅力についてお話した時ですね(「おしゃべりオジサンと怒れる女」テレビ東京系列)。店舗のロケならお店の方もいらっしゃるけど、スタジオ出演は私一人。
昔からテレビで見ていたプロの方々に対して、一人で話すなんて心臓が飛び出るくらい緊張しました。でもとても皆さん優しくて、ちゃんと話を聞いてくださって良い経験になりました。
世界の激辛事情——意外な激辛国家ブータン

金成姫:これまで韓国、アメリカ、台湾、中国、タイ、インド、ハンガリー、トルコ、フランス、スペイン、イタリアなど、世界を旅しながら各国で激辛料理を食べてきましたね。
意外な国にも、実は激辛文化があるんです。例えばハンガリーはパプリカが有名ですが、唐辛子も名産です。チーズケーキのイメージが強いフランスのバスク地方は、実はエスプレット唐辛子という名産がある。ヨーロッパってあんまり唐辛子のイメージないけれども、実は辛い料理もあるんですよ。
――中でも印象的だった国は?
金成姫:ブータンです。ブータンは唐辛子王国。すべての料理に唐辛子が入ってるといっても過言ではありません。サラダにも唐辛子が入っているし、卓上に日本でいうお漬物のように、セルフサービスの唐辛子がある。めちゃくちゃ辛くて、一緒に旅した友人はバテてました。それくらい辛いものが当たり前の国なんです。隠れ激辛国なので、激辛好きな方にはおすすめしたいです。
「麻辣湯」をプロデュース

金成姫:プロデュースした紀ノ国屋さんの「7種の具材の麻辣湯(春雨スープ)」が、期間限定で発売中です。自信作なので、ぜひ食べてみてほしいですね。
スーパーフード「ハナビラタケ」が入っていて食感も楽しめます。本場四川の唐辛子や山椒をガツンと効かせた激辛ではなく、程よい旨辛に仕上げたので、激辛が苦手な方にも召し上がってほしいです。
激辛好きの方は、物足りなく感じるかもしれませんが、そういう方はご自宅で好みの調味料を足していただければ。おかげさまで好評で嬉しいです。
今後は激辛の良さを広めていきつつ…
――今後はどのような活動をしていきたいですか?金成姫:激辛の良さをもっと広めていきたいです。ただ辛いだけではなく、美味しい辛さがあること、そして辛さにもいろんな種類があることを伝えていきたいです。
激辛だけじゃなく食全般が好きですし、ワインやチーズの資格も持っているので、食の仕事の幅も広げていけたらいいなと思いますね。激辛を中心としながらも、みなさんの食生活がより豊かになるお手伝いができればと思っています。
<取材・文/井澤 梓>