レギュラー番組を全降板……芸能の仕事を続けるか悩んだ日々
ーー先日、ABEMAの情報バラエティ番組「秘密のママ園」で、シングルマザーとシングルファザーが寝食を共にしつつ再婚相手を探す回に有村さんが出演しているのを拝見しました。様々なことに挑戦されているなと思いましたが、今はタレントとしてどんな仕事をされていますか?有村昆(以下、有村):芸能関係だと、今は映画コメンテーターとラジオのパーソナリティーを二軸として活動しています。映画コメンテーターとしては、千葉テレビさんやテレビ神奈川さんの情報番組で映画紹介のコーナーを、ラジオパーソナリティーとしては、東京FMさんや渋谷クロスFMさんでラジオ番組を持っています。このほか、自分のYouTube番組(有村昆のアリコンch)でも随時映画作品の紹介をupしています。
ーータレント業のほか、インバウンド向けの民泊ホテル経営にも関わっているとのこと。こちらはいわゆる「副業」になるのでしょうか。
有村:ホテル経営を始めたのは約2年前ですが、当時は副業のつもりでした。’24年4月には会社を立ち上げ、今は事業感がより強くなっています。現時点では東京と千葉を合わせて14軒のホテルを経営し、新たに開業準備しているところもいくつかあります。タレント業を除いては民泊にほぼ「全振り」している状況です。
ーー過去の話で恐縮ですが、’21年5月には写真週刊誌で当時のパートナーではない女性との密会が報じられ、有村さんが芸能活動を自粛、7月には離婚する事態に発展しました。
有村:関係はあります。件の記事が出た当時、それまで5本持っていたレギュラー番組は全て降板することになりました。タレントという仕事は、そもそも声がかからなければ番組に出られません。
約3ヵ月の自粛期間を経て、フジテレビ系列の情報番組『バイキングMORE』(’22年で放映終了)で復帰を果たしたのですが、その後も芸能の仕事が戻ってくるのかどうか、分からない時期がしばらく続きました。
番組に出ることがあっても、立ち振舞いには悩みましたね。タレントとして表の場に出る以上、何か言わない限り番組としては成立しません。かといってサービス精神を出して面白いことを言おうとすれば、「反省していない」と言われてしまう。さじ加減をどう測っていくかが、当時はすごく難しかったです。
「タレント・有村昆」の看板抜きにできる仕事を

有村:元々サウナが好きだったので、自粛期間中、サウナ内で熱波を送り込むために必要な知識や技術を習得する「熱波師(ねっぱし)」という民間資格を取得しました。あとは元カラテカの入江慎也さんに声をかけていただき、ハウスクリーニングの会社でアルバイトもしたりと、試行錯誤を続けていました。
そうやって色々な世界を見る中で、だんだん自分でも事業を興したいという気持ちが出てくるようになりました。もし芸能界にい続けたとしても、40代、50代と年を重ねていけば仕事が減っていくのは目に見えています。だとするなら「タレント・有村昆」の看板は抜きに、自分の手で仕事を取ってこれるようになりたいと思いました。
ーー一連の騒動から4年以上が経ちますが、環境の変化は感じますか?
有村:はい。最近はタレント活動の方でも、騒動について触れられること自体が減ってきました。
過去に自分が犯してしまったことについて忘れたわけではありませんし、今後も一生思い続けると思います。かといって、起きてしまったことは元には戻りませんし、それでずっと陰に隠れて生きていかねばならないということもありません。今は、新しい挑戦の方に時間を使いたい気持ちの方が大きいです。
ーー「秘密のママ園」では、シングルマザーの女性に果敢にアタックしていく姿が印象的でした。プライベートの方でも、新しい人生を始めたいお気持ちが出ているということでしょうか。
有村:いい人がいれば再婚は前向きに検討したいのですが、「秘密のママ園」に関して言うと、他の出演者が皆20~30代という中で、自分だけアラフィフ(50代)なのはちょっときつかった(笑)。おじさんにはおじさんなりの出会い方があるのかな、とは思ってしまいました。
ただ、何事も扉を開けてみなければわからないことは多い。熱波師の資格を取った後は、東京の巣鴨にあるカプセルホテル「サンフラワー巣鴨」に月一度呼んでいただき、映画の世界観をサウナで再現するイベントを担当しています。ホテルの経営もいざ始めてみたら、提携してくださる企業が出てきました。いつまでも失敗を引きずるのではなく「まずは自分から行ってみる」という精神は、何においても大切にしていきたいと思っています。
芸能の仕事は、仕事が来るのを待つ受身の姿勢が基本。だからこそ、タレント業とは別に自らの事業を興すタレントはここ数年で増えている印象を受ける。有村さん自身、副業のつもりで始めた「民泊」に、気づけば全振りしていることからも、それが窺える。
<取材・文/松岡瑛理>
【松岡瑛理】
一橋大学大学院社会学研究科修了後、『サンデー毎日』『週刊朝日』などの記者を経て、24年6月より『SPA!』編集部で編集・ライター。 Xアカウント: @osomatu_san