これは国民的グループとなった3人組にも当てはまるのかもしれません。
Mrs. GREEN APPLEのコンサートで“問題発生”
4月18、19日にMUFGスタジアム(国立競技場)でコンサートを開いたMrs. GREEN APPLE。この公演をめぐりいくつかの問題が発生し、議論を呼んでいます。ひとつはVIP客が起こした騒動。国立競技場を運営する会社が招待した客がミセスの公演を妨害するほどの大騒ぎをしていたというものです。運営会社は管理体制の不備を認め、謝罪文を発表する事態になりました。
もうひとつは2度にわたるド派手な花火の演出です。折しも両日はすぐ隣の神宮球場でヤクルトVS巨人の試合が行われていました。2日間で計4回の花火タイムにより試合は中断。ヤクルトの池山監督も「ちょっとタイミング悪いな」と語り、両チームに何らかの影響を与えた可能性を示唆していました。またテレビ中継で解説をしていた谷繁元信氏は、思わず「すげぇな……」と、なかば呆れ気味に呟いていました。
この他にも、開演前の先着順イベントによる大混雑により体調不良者が発生するハプニングもありました。
「巨大なファンダム」ができた一因は…
これらの報道は、熱心なファンからすればネガティブキャンペーンに見えるかも知れません。しかし、同時に、今回の出来事はMrs. GREEN APPLEを取り巻く環境が、奇妙にオーバーヒートを起こしていることの象徴とも言えないでしょうか。この人気が放つ強烈な光の背後には、鈍く重たい影が横たわっている、と。
振り返ると、遠く離れたところにまで重低音が響き渡った横浜ライブの騒音騒動や、「コロンブス」のMVでの演出が物議を醸したことなどで、世間を騒がせてきました。
しかし、そうした良くないニュースのたびにミセスの知名度が高まっていたのも事実です。悪名は無名に勝るといった具合に、むしろ炎上を糧にしてファンのシェアを広げていった。
問題が起きても、当人たちの言葉よりもレコード会社や事務所が法的かつ事務的に対処し続けてきたことで、ミセスのイメージに傷は付きませんでした。
いずれにせよ、良くも悪くもメディアに露出し続けることこそが、Mrs. GREEN APPLEの巨大なファンダムを作り上げる強力な根拠となってきたのです。
潜在的に蓄積する「批判の声」
もちろん、誰からも愛されることは不可能です。けれども、ミセスと運営、そして彼らのファンは、そのような批判の声が存在することを認識できているのか。しかもそれは必ずしも的外れではないという冷静な客観性はあるのか、という点に疑問を感じてしまうのです。
確かに、数字の上ではいま一番売れているバンドなのは間違いありません。だからこそ、“国民的”と形容されるのでしょう。
ただし、ミセスを全肯定するファンの規模だけで“国民的”と呼ぶのは大きな間違いです。なぜなら、ファンの向こう側にいる、ミセスに無関心な人の数のほうが圧倒的多数だからです。彼らはミセスを好きでも嫌いでもありません。
その代わり、良識に照らし合わせて言動を冷徹に見つめています。ミセスの炎上ニュースのたびに、認識が形成されていくからです。
現状はファンの熱量が批判をかき消しているように見えます。
しかし、その怖さのないところで展開されるエンターテイメントに、一体どれほどの価値があると言えるのでしょうか?
文/石黒隆之
【石黒隆之】
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。
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