山に暮らし、遊び、思索する――。時に含蓄あるセリフを吐いたかと思いきや、時に斜め上の言動でファンを驚かせる東出昌大。
今、何かと目が離せないこの男は文章でも人を惹きつける。9月に彼の山暮らしの日々を綴った24扁のエッセイ『誰が為にか書く~東京から離れた山暮らし日記』が刊行され、人間の生きる力とは何かを考えさせられる。そんな東出昌大のエッセイのなかから、同書籍未収録のエピソードを紹介しよう。
今回は山で採れる「キノコ」について。キノコ狩りのシーズンがやってきたわけだが、自己判断で毒のあるなしを自力で見極めるのは、かなり難しい。東出昌大流キノコ採取時のポイントとは?

(以下、東出昌大の寄稿)

実体験に基づく食べてはいけないキノコ格言

「間違えたらヤバい」東出昌大が山暮らしで学んだ“採って食べて...の画像はこちら >>
キノコの季節になってきた。厳密に言うならば、春にもキノコは生えるし、夏にしか生えないキノコもある。しかし、秋に多くの種類の、それも「特に美味」とされるキノコたちが生えるため、この時期山に通うオッチャン達はソワソワし始める。

マツタケなんて見つけた日にゃぁ、山ん中でブチ上がる。そして、天然のキノコはスーパーで売っているキノコとは比較にならないくらい香り豊かで味も良い。昼間に採ったマツタケをその日の夕食時、炭火を起こした七輪の上でホイル焼きにする。醤油をチョッと、すだちをチュッとかけ、熱で湿って柔らかく、しかしプックリとした香り高いマツタケをハフハフ言いながら頬張り、アルミホイルに残ったマツタケの露を吸う。


口いっぱいにマツタケの旨味が広がり、高貴な香りが鼻腔を貫いたその瞬間、ぬるめの燗酒をクッと煽る。夜風は肌に涼しく、虫の音が深まった秋を知らせる。至福。田舎暮らしの醍醐味とさえ言える。

だが一方、「キノコは間違えるとヤバい」は、都市部に住んでいる人でも耳馴染みのある言葉だろう。しかし私は幸いなことに、自分の判断でキノコを採り、食す機会に幾度となく恵まれてきたが、まだ生きている。田舎に住んでおらずとも「いつか採集したキノコを自分で食べてみたい」と思われている、コッチ側の読者さんがいないとも限らないから、今回は「キノコ狩り★超入門」として、専門書には載っていないが土地で見聞きしたキノコ採集時の格言を、いくつかご紹介したいと思います。

以下、独断と偏見、個人の意見が書き連ねられますので、ご留意されたし(予防線!)

入門編其ノ一「地面から生えている白いキノコは採るな」。白いキノコの中にはドクツルタケやタマゴテングタケなど、一発アウトのものが多くあります。また、ヤナギの木から生えていればヤナギタケ、クリの木から生えているクリ色のキノコはクリタケなど、木から生えていれば同定のヒントになる場合も多いのですが、地面はヒントが減るので止めといた方が良い。

入門編其ノ二「縦に裂けるキノコは食える」。めちゃめちゃ嘘。
死ぬ可能性もある。

入門編其ノ三「イグチに毒無し」。傘の裏側がスポンジ状になっているキノコをイグチ系と言いますが、これも嘘。イグチの仲間にはイタリアンで言うところのポルチーニのような滅茶苦茶美味いキノコもありますが、ドクヤマドリやニガイグチ(その苦さから食べた後しばらく落ち込む)などもあるのでご注意を。

入門編其ノ四「これ〇〇だ。と言ったオッチャンの顔を覗き込め」。これは私の経験から。以前、近所のオッチャン義守さんが「これはナラタケだ」と呟くように仰った。「じゃあ食えるじゃん!」と採集し、バクバク食っていたが、数時間後に「なんだかお腹がゴロゴロ鳴るし、やけに張るなぁ」と不思議がっていた。しかし、それから翌年も、その翌年も同じ所で採集し、食べていた。ある時、本物のナラタケと出会い、私の食べていたあのキノコは? と驚き調べると、毒マークのあるツチスギタケだった。まだ微毒で良かったが、自信なさげに肯定されたキノコは食っちゃダメ。


キノコはエピソードが豊富なので、また書かせて頂きます。素敵なキノコライフを!

【東出昌大】
1988年、埼玉県生まれ。’04年「第19回メンズノンノ専属モデルオーディション」でグランプリを獲得。’12年、映画『桐島、部活やめるってよ』で役者デビュー。現在は北関東の山間部で狩猟生活をしながら役者業をしている。著書に『誰が為にか書く~東京から離れた山暮らし日記~』がある
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