休日のドライブ、道の駅に寄るのが楽しみという方は多いのではないでしょうか。地元の野菜やご当地のおやつを買って、車の中で分け合う。
あの時間のために出かけている気すらしてきます。
国土交通省の発表によると、全国の「道の駅」は2026年9月時点で1234駅。制度が始まった平成5年の第1回登録は103駅だったので、30年あまりで約12倍に増えました。寄り道の楽しみは、年々増えているわけです。

今回ご紹介するのは、過去に大きな反響を呼んだ人気記事から、楽しいドライブの帰り道、高速道路で20分間あおられ続けた恐怖のエピソード。後ろから張りついてきたトラックの窓から伸びた腕には、バールのような金属の棒が握られていました。

記事の後半では、高速道路で取り締まられている違反のうち、どんな違反がいちばん多いのかを調べてみました。

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思い出のドライブが一転、悪夢に変わった瞬間

“あおり運転”してきたトラックの暴挙「叫びながら、窓からバールを出してきて…」パトカーに助けを求めた結果/高速道路の速度違反、1年でどれくらい取り締まられているのか調べてみた
※画像は生成AIによるイメージです
「その日までは、車の運転がこんなに怖いものだなんて思ってもみませんでした」

そう語ってくれたのは、都内の私立大学で助教を務める新沼さん(仮名・34歳)です。

休日を利用して、婚約者の女性と郊外までドライブに出かけた帰り道でのことでした。運転していたのは黒のSUV。普段は電車通勤で、運転に慣れているとは言い難い新沼さんは、どちらかといえば法定速度を守り、慎重に走るタイプです。

「婚約者とのちょっとした小旅行だったので、道中は気持ちも穏やかでした。途中、道の駅で買った焼き芋を半分こしながらのんびり帰っていたんです」

その静かなドライブが突然、荒れた海のような恐怖に変わったのは、午後6時を少し回った頃。
高速道路の左側から合流してくる車線に差しかかった瞬間のことでした。

「特に気にすることもなく、こちらは一定の速度で走っていたんですが、左後方からものすごいスピードで車が接近してきて…。『あれ、入ってくる?』と思った瞬間に、反射的にクラクションを鳴らしてしまったんです」

蛇行、幅寄せ、そしてバールを握った手

“あおり運転”してきたトラックの暴挙「叫びながら、窓からバールを出してきて…」パトカーに助けを求めた結果/高速道路の速度違反、1年でどれくらい取り締まられているのか調べてみた
※画像は生成AIによるイメージです
そのクラクションが、まさか恐怖の引き金になるとは、誰が想像したでしょうか。次の瞬間から、その車は新沼さんのSUVの後ろにぴったりと張りつきました。

「何かのスイッチを押してしまったようでした。その車がやたらとクラクションを鳴らしてきて…しかも、蛇行したり、車体をこちらに寄せてきたり。まるで威嚇されているようでした」

さらに恐ろしいのは、その車の様子です。新沼さんの話では、後方の車は中型のトラックタイプで、荷台には建設機器がいくつも積まれていたそう。そして運転席の窓から伸びた腕には、なんとバールのような金属の棒が握られていたといいます。

「夕暮れだったので見えづらかったのですが、白いヘルメットを被った人が、窓からバールを振るような仕草をしながら叫んでいるんです。彼女も息を飲んで、もう車内には言葉もありませんでした」

あおられている区間は対面通行の有料道路で、途中にサービスエリアなどもなかったことから、恐怖の中そのまま走り続けなければならなかったそうです。

耐えた20分、命を守るために選んだ行動

“あおり運転”してきたトラックの暴挙「叫びながら、窓からバールを出してきて…」パトカーに助けを求めた結果/高速道路の速度違反、1年でどれくらい取り締まられているのか調べてみた
※画像は生成AIによるイメージです
「バックミラーを見るたびに血の気が引きました。スピードを落とすとさらに接近してくるし、横を無理やりすり抜けて進路をふさごうとする動きもあって、もう何が起きてもおかしくないと覚悟しました」

恐怖の時間は、約20分。たった20分ですが、新沼さんにはそれ以上に感じたといいます。
その間は必死に婚約者を守ることだけを考えていたそうです。

「完全に常軌を逸した運転でした。もし自分ひとりなら車を停めて謝っていたかもしれない。でも、助手席に彼女がいたから、それだけは絶対に避けたかったんです」

“あおり運転”してきたトラックの暴挙「叫びながら、窓からバールを出してきて…」パトカーに助けを求めた結果/高速道路の速度違反、1年でどれくらい取り締まられているのか調べてみた
※画像は生成AIによるイメージです
ようやく次のインターチェンジの案内標識が見えたとき、新沼さんはそのまま本線を外れ、併設された道路管理事務所の前に車を停めて駆け込みました。

「もはや震える足でドアを開けて、声も裏返っていたと思います。でも、そこに高速警察隊のパトカーがたまたま来ていて…。運がよかったとしか言いようがありません」

“あおり運転”してきたトラックの暴挙「叫びながら、窓からバールを出してきて…」パトカーに助けを求めた結果/高速道路の速度違反、1年でどれくらい取り締まられているのか調べてみた
※画像は生成AIによるイメージです
その場で警官にドライブレコーダーの後方映像を見せたところ、すぐに状況を理解してもらえたそうで、被害届が受理され、後日正式に捜査が開始されることになりました。

心に残るトラウマ、それでも前を向いて

その後、警察からは「該当車両の特定にはもう少し時間がかかる」と説明を受けたそうです。ナンバーも鮮明には映っておらず、決定的な証拠が足りないとのこと。

「正直、今でも対面通行の道や、合流地点では心拍数が上がります。あれ以来、運転するのが怖くなってしまって…。でも、自分が黙っていたら、同じような目に遭う人がまた出るかもしれない。それが一番嫌だったんです。
だから、被害を報告したんです」

慎重な性格で、クラクションも普段は滅多に使わない新沼さん。それだけに、今回の体験がどれほどショッキングだったかは、想像に難くありません。彼は今も、婚約者と共にドライブに行く際には、最新のドライブレコーダーを前後に装着し、事前にルートを綿密に調べてから出発しているそうです。

「本当に、命の危険を感じました。あんな思いは二度としたくない。でも、ちゃんと対処すれば、守れるものもある。それを伝えたかったんです」

新沼さんが口にした「恐怖の20分間」という言葉には、単なる交通トラブルを超えた、深い心理的な傷跡が感じられました。今もなお、加害者の検挙には至っていないとのことですが、彼の通報により同様の事件が減ることを願うばかりです。

<TEXT/八木正規>

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■高速道路の取締り、7割が速度違反

“あおり運転”してきたトラックの暴挙「叫びながら、窓からバールを出してきて…」パトカーに助けを求めた結果/高速道路の速度違反、1年でどれくらい取り締まられているのか調べてみた
※画像は生成AIによるイメージです
恐怖のきっかけは、「こちらは一定の速度で走っていたんですが、左後方からものすごいスピードで車が接近してきて」という場面でした。速度を守っていた側が、追い立てられる格好です。

内閣府の令和7年版交通安全白書によると、2024年に高速道路で取り締まられた交通違反は35万7251件で、前年より6828件減りました。ただ、その内訳を見ると、最高速度違反が25万9683件。全体の72.7%を占めています。


ちなみに、違反の種類でいうと次に多いのが車両通行帯違反の4万4197件で、あおり運転の取締りに使われる車間距離不保持は4713件(前年は5527件)でした。件数だけを並べると、速度違反の多さが際立ちます。

一般道も含めた全国の取締り件数は420万4155件で、このうち最高速度違反は84万7378件。割合にすると2割ほどです。高速道路に限ると7割を超えるわけで、道の性格の違いが数字にも表れているようです。

■あおられたとき、警察庁がすすめている行動

では、実際にあおられてしまったらどうすればいいのでしょうか。警察庁は、妨害運転への対処法として、サービスエリアやパーキングエリアなど交通事故に遭わない場所に避難すること、車外に出ないこと、ためらわずに110番通報することを挙げています。あわせて、ドライブレコーダーは悪質・危険な運転行為の抑止に有効だとも書かれています。

新沼さんが走っていたのは対面通行の有料道路で、逃げ込めるサービスエリアがありませんでした。20分耐えた末にインターチェンジを降り、道路管理事務所に駆け込んだところ、たまたま高速警察隊のパトカーが来ていた。教科書どおりにはいきませんでしたが、記録が残っていたおかげで被害届は受理されています。

“あおり運転”してきたトラックの暴挙「叫びながら、窓からバールを出してきて…」パトカーに助けを求めた結果/高速道路の速度違反、1年でどれくらい取り締まられているのか調べてみた
※画像は生成AIによるイメージです
速度を守っていた側が、なぜ20分も追い立てられなければならなかったのか。
取締りの数字を眺めても、そこまでは書かれていません。ただ、35万7251件という取締りの向こうには、書類にならなかった20分がいくつも隠れているのだろう、とは思います。次のドライブの前に、ドラレコの映像を一度確認してみてもいいかもしれません。

<再構成/日刊SPA!編集部>

【八木正規】
愛犬と暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営
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