国内の菓子メーカーの業績は明暗が分かれてきました。原材料高や価格改定、設備投資など、複合的な要因が複雑に絡み合っています。
値上げが続くなかでチョコレートの生産数量は減少
売上を伸ばしている会社の一つが明治ホールディングス。チョコレートやグミなどを手掛ける国内のカカオ事業は、2026年3月期が9.3%の増収だった一方、営業利益は6.4%減少しました。明治は2025年に度重なる値上げや減量を実施しています。
2025年3月1日出荷分から、「チョコレート効果カカオ」などのチョコレート17品を約6~33%引き上げ。主力の「きのこの山」「たけのこの里」は、同年5月20日発売分から10%程度減量。同年6月1日出荷分から「ミルクチョコレート」などのチョコレート31品を10~36%引き上げています。
明治は2026年3月期が好調だった要因に、チョコレートが価格改定効果によって増収だったことを挙げています。価格転嫁が奏功しているのです。
これはチョコレート市場そのものと重なる動きでもあります。
全日本菓子協会によると、2025年のチョコレートは生産数量が約9%減ったにも関わらず、小売金額は13%程度増加しているのです(「菓子関係データ」)。明治は市場動向と歩調を上手く合わせているように見えます。
2026年4月~6月の国内カカオ事業は12.7%の増収でした。「きのこの山」「たけのこの里」、「チョコレート効果」が好調だった一方、相場高騰期に調達したカカオ原料の使用などにより、営業利益は34.2%減少しました。カカオは2024年初頭に歴史的な高騰を見せましたが、その後急落しました。カカオ相場に振り回されているものの、販売そのものは好調を維持しています。
江崎グリコは、「ポッキー」「プリッツ」「カプリコ」などの栄養菓子事業の2025年12月期の売上高が約2%の増収、セグメント利益は16%近い減少でした。
グリコは2025年2月1日出荷分から「ポッキー」「カプリコ」「GABA」など菓子類の価格を2~32%引き上げました。
値上げで市場金額が拡大するなか、明治もグリコも国内の菓子関連事業は増収減益となりました。ただし、明治が約9%の増収を確保した一方、グリコは約2%の増収にとどまり、価格改定後の売上の伸びには大きな差が生じています。
手ごろな価格×定番商品で支持されるブルボン
グリコは2026年1月~6月の栄養菓子事業が0.2%の増収、5割以上の減益でした。価格改定後の数量が減少していることに加え、原材料コストの増加が響いていると説明しています。チョコレート市場がこの時期に3%、ビスケット市場が5%程度伸びていることを考えると、厳しい局面に立たされていると言えるでしょう。原材料高に見舞われるなかでも、堅調に推移しているのがブルボン。2026年3月期は売上高、営業利益、経常利益、純利益ともに過去最高を更新しました。
「アルフォート」などのチョコレートの売上高は微減だったものの、「ルマンド」などのビスケットは9%を超える増収。全国ビスケット協会によると、2025年のビスケットの小売金額は7%増加しています(「ビスケットの種類別生産数量及び生産金額」)。ビスケットの伸長率は市場の推移を上回りました。
ブルボンは手頃な価格で多くの人が知っている定番商品が買えることに強みを持っています。価格面の優位性がある商品や、ロングセラーの安心感が支持されているのです。
それに加え、新商品の投入や品質向上施策も奏功しました。
2025年10月には、シガレットタイプのラングドシャクッキー「ルーベラ」を3年ぶりに再発売、テレビCMでも積極的に訴求しました。
クラウンメロンや矢堅目の塩、安納芋、和栗、ブランドいちご、宇治抹茶を使用した季節商品も展開しています。クオリティアップ、アイテム数の底上げを図っており、多くの消費者を引き付けているのです。
ブルボンは2027年3月期通期で5%の増収、2割を超える営業減益を予想しています。しかし、2026年4月~6月は3%の増収、2割近い営業増益でした。通期予想の修正はしていませんが、今期も出足は好調です。
天然水の販売を始めた不二家だが…
不二家の製菓事業の雲行きが怪しくなっています。2025年12月期は増収増益だったものの、2026年1月~6月は増収減益。カカオ豆や油脂などの原材料コストが利益を圧迫、さらに天然水の新規設備投資を吸収することができませんでした。製菓事業の主力商品の一つが「カントリーマアム」。不二家は2025年2月、2026年2月に値上げを実施しています。
会社は販売数量に言及していないものの、カカオなどの原材料コストを吸収しきれていない現状からは、価格転嫁が上手くいっていない印象を受けます。
不二家は「ネクター」などの飲料も手掛けていますが、2024年に天然水事業に参入すると発表しました。新商品「山の水」の発売がスタートしています。
しかし、足元では投資に見合う収益が得られていません。工場の稼働に際して、品質の確保と出荷能力の拡大を同時に進めたことから、販売額が当初計画を下回ったのです。
不二家は2026年上期の連結営業利益を7億円と予想していましたが、実績は2億9700万円にとどまりました。売上高は前年同期比4.8%増だったものの、営業利益は75.3%減少しています。
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原材料高や人件費の高騰により、多くの菓子メーカーが価格転嫁を実施しています。値上げに消費者がついてくるかどうかが一番のポイント。商品の品質向上やブランディング、プロモーション、営業力など、企業の本質的な力が試される局面に入っているのかもしれません。
<TEXT/不破聡>
【不破聡】
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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