嫌がらせしてきた相手をSNSで晒す人が増えている。さらにその恨みつらみを呪術で発散するというケースまで……。
一方で「復讐モノ」の漫画やドラマは日本中でヒットコンテンツになり、今や「復讐ブーム」とも言える現象が起こっているのだ。なぜ人は復讐するのか。復讐心にのまれた当事者たちを追った。

復讐は日本人に身近なものになりつつある?

「顔写真に画鋲」「住所付きで社会的に抹殺希望」SNS晒し代行...の画像はこちら >>
「やられたらやり返す。倍返しだ!」のドラマ『半沢直樹』から10年あまり、再び復讐ブームが到来している。巷には復讐系ドラマ、マンガが溢れ、ヒットを飛ばしているのだ。

“サレ妻”が夫と不倫相手を破滅に追いやるものから、会社に対する恨みを晴らすものまでさまざま。一方、SNSでは「嫌がらせされた」という理由で一般人を晒すケースが増加しており、“晒し代行”とも言える特殊なアカウントまで増殖している始末。ある意味、復讐は日本人に身近なものになりつつある。

実は近年、最も古典的な復讐手段である「呪い」も盛んに利用されているという。造形作家として数多くのホラー作品の小道具を手がけた経験を持つ、呪物コレクターの相蘇敬介氏が語る。

「栃木県足利市にある門田稲荷神社は日本三大縁切り神社として有名ですが、ここが怨念渦巻く“呪いスポット”と化しているんです……。神社に並ぶ絵馬からは恨みつらみが溢れすぎて、気分を悪くする人もいるほどです」

記者が向かうと、境内には、復讐心むき出しの絵馬がずらり。
相手の職場や本名、住所まで書き込んだものも多い。なかには「〇〇大学の教員〇〇の悪事が広まり、社会的に抹殺されますように。一刻も早く娘の近くから姿を消すようお願いします」という告発絵馬もあった。

顔写真に画鋲を刺した“呪い絵馬”も…

最も強烈だったのは、職場の同僚と思われる人物の顔写真を印刷して絵馬に貼り、その顔に画鋲を刺した“呪い絵馬”だ。

書かれた恨み節はSNSで告発すれば、投稿者自身が名誉毀損やプライバシー侵害の罪に問われる可能性があるものばかり。行き場を失った復讐心が、アナログな祈願の場へ流れ込んでいるようだ。

ほかにも今春、相蘇氏は岡山県の育霊神社を訪れ「丑の刻参り」の跡を目にした。境内の木には、藁人形や釘が打ちつけられていたという。

「神社の木に打たれた五寸釘は釘抜きを使っても抜けないほど深く入っていました。途中の山道はかなり足場も悪く、ここまでして相手を呪うのかとすごい執念を感じましたね」

「顔写真に画鋲」「住所付きで社会的に抹殺希望」SNS晒し代行から“リアル呪い絵馬”まで…令和に過熱する「復讐ブーム」の実態
静かに広まる[復讐ブーム]の恐怖
「顔写真に画鋲」「住所付きで社会的に抹殺希望」SNS晒し代行から“リアル呪い絵馬”まで…令和に過熱する「復讐ブーム」の実態
育霊神社で相蘇氏が目撃した丑の刻参りの形跡。五寸釘と藁人形は、釘抜を使っても抜けないほど執念深く打ち込まれていたという


呪い実践者が語る真のメリット

「顔写真に画鋲」「住所付きで社会的に抹殺希望」SNS晒し代行から“リアル呪い絵馬”まで…令和に過熱する「復讐ブーム」の実態
呪鬼会で販売している藁人形セット。呪鬼会では呪術師が丑の刻参りを行うが玄人のために人形だけの販売もある
実は相蘇氏も、かつて復讐心から人を呪った経験がある。

「数年前、コレクションの一環として、具体的な呪術の作法が書かれた古文書を手に入れました。せっかくなので試そうと思い、当時別れたばかりだった元カノを呪いの対象に選んだんです。儀式には『雷の落ちたかけら』や『呪う相手の菩提寺の土』などが必要。相手を模した祭壇をつくり、そこに矢を放つというものでした」

のちに儀式の手順を間違えていたことが判明し、呪いは成立しなかった。
だが、相蘇氏が実感した本当の呪いの効果は別にあったという。

「当時彼女への恨みは相当強かったので、呪わなかったらもっと笑えない嫌がらせをしていたかもしれません。自分の恨みを呪いとしてで昇華できたのです」

こうした復讐心をビジネスにする業者もある。「呪術代行」を40年近く行っている日本呪術研究 呪鬼会に、最新事情を尋ねた。

「呪術代行という業種そのものが認知されていないので、相談件数は一日に5~30件ほどとかなり波がある。ですが、以前は恋愛成就の依頼がほとんどだったのに、最近は復讐目的の割合が上がっています。SNSで粘着された、悪い噂を流された、ストーカーの加害者扱いをされたなど、さまざまな理由から相手をひどい目に遭わせたいという依頼が目立ちます」

復讐の満足感は人によって違う

依頼内容も近年変化がある。

「昔は、相手が苦しめばいい、死んでしまえばいいという、単純な願いが多かった。でも今は、『死んだら苦しんでいるところを見られないから嫌だ』『自分と同じ目に遭う様子を見たい』という方が増えました。復讐の満足感は人によって違うのです。結局、復讐したと実感できるかどうかが重要なのでしょう」

依頼後の効果は、利用者からの報告で確認する。

「基本的に弊社は専用の場所で丑の刻参りを行い、依頼者が願った結果が叶うような呪いをかけます。
依頼者には日時や方法だけ伝えるのみなので、信じ切れない方は最初から依頼をやめていただくように案内していますが……。それでも依頼したい人はおり、本当に効果を実感したという報告も上がってきています」

呪いに本当に効果があるのかはわからないが……今回の取材をするなかで記者一人は突然体調を壊し、もう一人にはパートナーとの大喧嘩&別れ話という災禍が降りかかった。少なくとも復讐心は人を狂わせるようだ。

※2026年11月4日号より

取材・文/週刊SPA!編集部

―[静かに広まる[復讐ブーム]の恐怖]―
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