新幹線では、周囲の乗客の振る舞いによって、せっかくの移動時間が台無しになってしまうことがある。なかには、自分勝手な行動で迷惑をかけながら、まったく気にする様子のない人がいるようだ。

 今回は、新幹線で迷惑な男性に遭遇したものの、最後には思わぬ結末が待っていたという2人のエピソードを紹介する。

通路をふさいで眠る男性に困惑

「うるせえな!」新幹線で空き缶を投げてきた酔っ払い男性…怒り...の画像はこちら >>
 家族5人で新幹線に乗り、祖父母の家へ向かっていたときの出来事を振り返るのは、藤崎奈緒さん(仮名・20代)。当時はまだ子どもで、家族全員が近くの座席を確保できず離れて座っていたという。

「弟は小学校低学年で、新幹線が大好きだったんです。車内を歩いたり、デッキから景色を眺めたりするのを楽しみにしていました」

 ところが、母親と弟が座っていた席の通路側には、中年男性が座っていた。その男性の態度が、家族を困らせることになったのだ。

「男性は足を前に突き出して、通路をふさぐようにして眠っていたんです。母が『通していただけますか?』とお願いしたのですが、聞き入れてもらえませんでした」

 母と弟は、一度はなんとか跨いで席を離れたものの、戻ろうとするときも状況は変わらず、男性の足が邪魔になり通りにくい状態だった。

「母は、何度も起こすのは気が引けたようで、結局、弟と一緒にデッキで過ごすことにしました。弟はデッキから景色を眺めて楽しんでいましたが、母は座席があるのにずっと立ちっぱなしで……。子どもながらに『かわいそう』と思いました」

 家族で楽しく過ごすはずだった新幹線で、ひとりの男性に気を遣わなければならない状況に、藤崎さんは腹が立ったそうだ。

降車駅を過ぎて目を覚ました男性のひと言

 それからしばらくしても、男性は眠り続けていた。ところが、ある駅への到着を知らせるアナウンスが流れたとき、突然目を覚ましたという。

「男性が起きたと思ったら、『あ、乗り過ごした』と言いました。
どうやら、自分が降りる予定だった駅を通り過ぎてしまったみたいでした。心のなかでは『自業自得だな』と思いましたね」

 周囲への迷惑を顧みず眠り続けた結果、男性自身が困ることになったのだ。

 もちろん、誰でもうっかり寝過ごすことはある。それでも、男性に対して腹を立てていた藤崎さんにとっては、思いがけない出来事だった。

酔っ払った男性が突然空き缶を投げつけてきて…

「うるせえな!」新幹線で空き缶を投げてきた酔っ払い男性…怒りをこらえた女性が最後に“スカッとしたワケ”
※画像は生成AIによるイメージです
 高校の卒業旅行で友人4人とディズニーランドを訪れたという、宮原彩佳さん(仮名・30代)。15年以上前の出来事だが、帰りの新幹線で遭遇した男性のことを、今でも忘れられないそうだ。

「私たちは東北の田舎で育ったので、ディズニーランドは特別な場所でした。初めて行く友人もいて、朝から晩まで思いっきり遊んだんです」

 グッズや家族へのお土産を買い、写真もたくさん撮った。そして卒業前の楽しい思い出を胸に、最終の新幹線で帰ることになった。

「車内は比較的空いていて、自由席に座れました。私たちは3人と2人に分かれて、車両の一番後ろに座ったんです」

 慣れない都会で一日中歩き回ったため、全員が疲れ切っていた。そんなとき、途中の駅から50歳くらいの男性が乗ってきたという。

「男性は座るなり『チッ』と舌打ちをはじめたんです。
何に腹を立てているのかわかりませんでしたけど、イヤな感じがしました」

 男性は缶チューハイを開け、靴を脱いで足を上げると、ブツブツと文句を言い続けていた。

「『うわ、なんだこの人……』と思いました。でも、関わらないほうがいいと思って、聞こえないふりをしていたんです」

 ところが、突然男性が怒りだし、目を疑うような行動をとったのだ。

「いきなり、『うるせえな!』という感じで空き缶を投げてきました」

 楽しかった卒業旅行の帰りに、見知らぬ男性から理不尽な仕打ちを受け、宮原さんは怒りが込み上げてきたそうだ。

泣き出した友人を守るために我慢した結果

 隣にいた友人を見ると、恐怖のあまり泣き出していた。

「私は、理不尽なことをされると黙っていられないタイプなので、言い返したかったんです。でも、友人を見て、ここで騒ぎになったら余計に怖い思いをさせてしまうと思いました」

 宮原さんは怒りをグッとこらえ、友人たちと一緒に男性から離れた席へ移動した。

 その後、男性は車内で眠ってしまったという。しばらくすると、目を覚ました男性が突然慌てはじめた。

「降りる駅を間違えたのか、男性がパニックになって降りていきました」

 男性が実際にどの駅で降りる予定だったのかはわからない。それでも、周囲に迷惑をかけていた男性の慌てる様子を見て、宮原さんはスカッとしたそうだ。

 新幹線は、さまざまな事情や目的を持つ人が同じ空間で過ごす場所。
自分にとっては何気ない振る舞いでも、誰かの楽しい旅に水を差してしまうことがある。目的地まで誰もが気持ちよく過ごせるよう、周囲への配慮を忘れずにいたいものだ。

<取材・文/chimi86>

【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。
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