将棋の藤井聡太名人=竜王、王位、王座、棋王、王将、棋聖=に永瀬拓矢九段が挑戦する第83期名人戦七番勝負第3局が10日、大阪・泉佐野市のホテル日航関西空港で指し継がれ、後手番の藤井が102手目で勝利した。対戦成績を3勝0敗とし、タイトル防衛にあと1勝とした。
戦型は相矢倉。藤井は「公式戦で指すのは久しぶりだったので、全体を通して距離感をつかむのが難しかったかなと思います」と振り返った。2手目で、第74期王将戦七番勝負の第5局で初めて指した△3四歩。序盤からすばやい指しを続けた。
「先手から仕掛けられて来られる手も有力ですし、本譜のような組み合いになるのも自然。序盤は手が広いのかなと思っていた」。1日目の前半は永瀬、後半は藤井が時間を使い、スローペースな展開に。形勢はほぼ互角のまま、藤井が52手目を封じたが「(形勢は)きわどいのかなという風に感じていました。全体的にこちらのふがいない状態の戦いになっていて、思っていた以上に自玉が薄い感じになってしまったかなと思っていました」と反省した。
2日目の序盤は千日手が考えられる状況下が続いたが「こちらが打開というのは考えていませんでした」と藤井。永瀬が55手目で角を引き、打開した。その後は永瀬は攻めに転じたが、藤井が応じずに攻め合いを通じて徐々にリード。
藤井が3連覇に王手を懸けた第4局は17、18日に大分・宇佐市の宇佐神宮で行われる。