シャンソン歌手・クミコが、10日放送のBS朝日「人生、歌がある」(土曜・午後7時)に出演した。戦後80年目となる今年に、15年ぶりに再録音した平和への祈りを込めた「INORI~祈り~」をフルコーラスで披露した。
松明風の照明と階段が設置されたスタジオで、平和を象徴する純白の衣装を纏ったクミコは、スポットライトの中で抑制を効かせつつも平和への熱い想いを込めた感情豊かな歌唱を披露した。
また同番組の名物企画で、アーティストたちの貴重な共演や新境地の楽曲へ挑戦する「ライブ・チャレンジ」では美空ひばりがトリビュートされ、クミコは「リンゴ追分」を歌唱。原曲へのリスペクトを込めつつも、クミコらしいドラマティックな表現で歌い上げた。
「INORI―」は広島平和記念公園にある原爆の子の像のモデル・佐々木禎子ちゃんの生涯をつづった歌で、甥である佐々木祐滋さんが楽曲制作をした。この曲をクミコは佐々木さんから「言葉を大切にし、命の尊さへの想いを大切に歌い上げてきたクミコさんにぜひ歌ってほしい」と手渡され、2010年2月に発表。同曲で自身初となるNHK紅白歌合戦出場も果たした。
クミコは当初、被爆者や広島に縁がないことでこの曲を歌うことをためらったが、被爆2世である佐々木さんがクミコに「僕たちが抱えている生きる不安や平和への想いを歌で伝えてほしい」という願いを託され、自分が歌うことで悲劇を伝えていけるならばと「INORI―」と向き合う決心をした経緯がある。この楽曲は戦後80年を迎える今年6月に発売されるクミコの新アルバム「シャンソンティックな歌たち ~『出逢い』が歌を運んだ」へ15年ぶりに新録音され収録される。
クミコは7月1日に井上芳雄をゲストに迎えたコンサート「クミココンサート~スペシャルゲスト 井上芳雄~」を東京オペラシティ コンサートホールで開催する。二人はこれまでもコンサートやディナーショーで共演し、息の合ったパフォーマンスで多くのファンを魅了してきた。また2010年に「車輪」、2020年につんく♂プロデュースの「小さな手/きずな」といった楽曲も共にリリースしており、「車輪」は6月に発売されるアルバムへも収録される。
コンサートに向けてクミコは「今回、芳雄さんとご一緒できると聞き、幸せでいっぱいです。