将棋の棋士養成機関、奨励会に所属する16歳11か月の山下数毅三段と、高田明浩五段による第38期竜王戦5組ランキング戦の決勝戦が12日、大阪・高槻市の関西将棋会館で指され、山下が勝利した。

 これで山下は、棋士以外(女流棋士、奨励会員、アマチュア)としては初の竜王戦決勝トーナメントへの進出が決定。

6組優勝者と対局し、さらに勝ち進めば、藤井聡太竜王=名人、王位、王座、棋王、棋聖、王将=への挑戦権を得ることになる。

 同じ森信雄七段門下の兄弟子と公式戦初対局。振り駒の結果、先手・高田、後手・山下となった。持ち時間は5時間。午前10時、互いに飛車先を突き、雁木の戦型に。しかし早くも同30分に千日手が成立した。

 同45分から指し直し局がスタート。消費時間はそのまま持ち越され、先後が入れ替わって再開された。先手・山下が飛車先を突くと、今度は後手・高田が角道を開けた。戦型は高田が8手目に△8八角成とした後手番一手損角換わり。その角を山下が打ったのは59手目。▲4七角と自陣に据えた。

高田は78手目に△6四角を打ったが、この時点で残り時間16分で、山下は1時間5分。形勢は先手優勢となっていた。

 84手目で高田が△8七歩成で王手をかけ、勝負に出ると、ここからノータイムの応酬。飛車を取らせて金を得た。しかし最後は山下が押し切った。

 現在高校2年の山下は昨年5月、第37期棋戦6組ランキング戦で決勝に進出し、プロ棋士以外の竜王戦出場者として初となる5組昇級を果たした。だが決勝で藤本渚五段に敗れ、規定による四段昇格資格は得られなかった。

 しかし今期竜王戦5組ランキング戦で藤本、出口若武六段らを連破。この快進撃を受け、日本将棋連盟は棋士となる権利の条件を改定。“山下規定”に基づき、5組決勝に進出したことで2回目の次点をほぼ手中に収めた。今期奨励会三段リーグ戦で降段点(勝率2割5部以下)を回避できれば、同リーグ戦終了時(9月)に四段昇格(プロ入り)となる。

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