フジテレビの第三者委員会に「性暴力」を認定された中居正広氏(52)の代理人弁護士は12日、「一般的に想起される暴力的、または、強制的な性的行為は確認されなかった」と反論した。複数のポイントを挙げて、中居氏の人権救済のため、第三者委に証拠の開示を請求すると明らかにした。
レイ法律事務所・河西邦剛弁護士によると、中立・公平の立場から調査を行う第三者委員会の決定に対し反論するのは「珍しいケース」という。「不満の原因は『性暴力認定を受けた』こと。前提としての調査過程に不公正感があると指摘している」と分析する。
▼日弁連の第三者委ガイドラインの指針を満たしていないという主張 河西弁護士「再発防止に向けた第三者委員会の調査報告書にもかかわらず、性暴力を認定している。不意打ち的であり、その過程について不公正感があるのではないかということを、ガイドラインを引用し、指摘したいのではないか」
▼守秘義務解除について 河西弁護士「書面には『中居氏は当初、守秘義務解除を提案していた』とあったが、第三者委の報告書には『女性側は開示に応じたが、中居氏側は開示に応じなかった』と認定され、中居氏側が提案したことは書かれていなかった。なぜ書かなかったのか、は問題になる可能性がある。一方的な事実が書かれることで、報告書を読んだ側は『中居氏側にやましいことがあるから、解除に応じなかったのでは』と考えるのが一般的だ」
▼性暴力認定についての問題提起 河西弁護士「書面でも『極めて大きな問題』と記されたように、重要なポイントだ。第三者委は、WHOの基準に則って『性暴力』というワードを使ったが、『性暴力』の言葉だけを聞くと日本では性犯罪をイメージしてしまう人もいる。性犯罪に該当するような行為がないのであれば、真実ではない内容であり、中居氏の名誉を毀損(きそん)したと主張に読める。裁判所によっては、報告書に『WHO基準の性暴力である』と書かれていても、性犯罪のような行為がなければ、性暴力の真実性がないと判断される可能性がある。
▼代理人の聞き取りを経ての主張 河西弁護士「改めて聞き取りを行った結果、『暴力的または強制的な性的行為』に該当するようなことはなかった。『性暴力』というワードを使ったことは名誉毀損であると改めて主張している」
▼証拠等の開示請求と報告書の問題指摘、釈明の要求 河西弁護士「6時間の聞き取りがあったのに、記載されなかった報告書の問題点を指摘している。今後の流れとして、釈明に『納得できない』となる可能性があり、そうなった場合、おそらく第三者委に訂正と謝罪を求める。それすら受け入れられない場合は、第三者委を委託したフジテレビを訴える可能性もあり得る」
河西弁護士はこれらのポイントを踏まえた上で「中居氏側は、性暴力に該当することはないと思っているにもかかわらず性暴力と認定されたことは受け入れられない。そんな証拠はない、というのを固めるために証拠の開示を求めている」と指摘。「根拠を求めて、外堀りを埋めた後に裁判を起こすことも考えられる」と述べた。