俳優・藤原竜也が、舞台「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」(来年1月上演、東京芸術劇場)に主演することが14日、分かった。
原作は作家・村上春樹氏による同名小説。
2つの物語を同時進行的に扱うことから、原作の世界観を視覚化することは困難とされており、人気作でありながら出版から40年経過してもメディアミックス化されていなかった。ただ、製作のホリプロには「海辺のカフカ」(12年)、「神の子どもたちはみな踊る」(19年)、「ねじまき鳥クロニクル」(23年)の3作の村上作品を舞台化した実績もあり、村上氏側から許諾を得たという。
10年前にロンドンで連続上演された蜷川幸雄さん演出の「海辺のカフカ」を客席から見たのが村上作品との出会いだったという藤原は、今作が村上作品初挑戦となる。デビュー28年での試みに「大変光栄です。今回の作品、俳優人生のターニングポイントになるかもしれません。驚くような舞台にしますので、ぜひ皆様にご覧いただきたいです」と力を込めた。
演出はフィリップ・ドゥクフレ氏が務める。フランスを代表する世界的アーティストで、1992年に31歳の若さでアルベールビル冬季オリンピック開・閉会式を演出した鬼才で、振付師でもある。藤原は初タッグとなるが「自分はダンサーではありませんが、もし稽古場でフィリップさんからダンスを求められたら、『お手柔らかに』とフランス語でお答えします」と稽古を心待ちにしていた。
フィリップ氏は「最初に物語を読んだときは、『これを舞台化するなんて到底無理だ』とすら感じたほどです。もちろん、ジャンルを横断することが好きな私は、そこに大きな魅力を感じてもいましたが。そんな“不可能を可能にする”このプロジェクトに取り組めることに、今、胸が高鳴っています。演劇であり、ダンスであり、音楽であり、視覚芸術であり、そしてどの枠にも収まらないような舞台…。この世界に、皆で喜びとともに没入できることを、心から願っています」とコメントした。