◆JERA セ・リーグ 巨人1ー0中日(17日・東京ドーム)
巨人は中山礼都内野手(23)のチーム71イニングぶりのタイムリーで奪った1点を守り切り、中日に連勝して5カードぶりの勝ち越しを決めた。3日DeNA戦(横浜)以来のスタメン出場となった中山は、0―0の2回無死一、二塁、中京大中京(愛知)の同級生で好相性の高橋宏斗投手(22)から中前適時打。
中山が旧友を打ち砕いた。両軍無得点の2回無死一、二塁。バントからヒッティングに切り替えた2球目だ。中京大中京時代の同級生・高橋宏が投じた真ん中高め152キロ直球を捉えた。思いきりよく振り抜いたバットから放たれた打球は中前へ。二塁走者・キャベッジの生還を見届け、右拳を突き上げた。「すごくうれしい。いいピッチャーからいい場面で打てて良かったです」。チーム71イニングぶりの適時打で先制。重い扉をこじ開けた一打が決勝タイムリーになった。
高校時代は2年秋の明治神宮大会で全国制覇を果たすなど、苦楽を共にしてきた。
昨オフには何度か食事をした。「あまり野球の話はしなかった。ふざけています」。試合前はにこやかな表情で言葉を交わしたが、試合では「勝負には勝ちたい」と気持ちをたぎらせ特別な対決を制した。23年4月15日(バンテリンD)でも決勝打を放つなど、通算13打数5安打で打率3割8分5厘。“高橋宏キラー”と化している。
悔しさを糧にはい上がってきた。オープン戦でアピールし、開幕1軍スタート。
巨人は22年に72イニング連続適時打なしがあったが、それに匹敵する悪い流れを断ち切った。2連勝で3位に再浮上。岡本が左肘靱帯(じんたい)損傷で離脱して苦しい状況だが、中山にとってはチャンスでもある。「結果を残せなくて(2軍に)落ちて、すごく悔しい思いをした。二度とそういう思いはしたくない」。
◆G中山とD高橋宏 愛知・中京大中京の同級生で、中山が遊撃、高橋宏がエースとして2年秋に明治神宮大会で全国制覇。3年時の20年センバツは優勝候補だったが、新型コロナの影響で中止に。夏の交流試合は投打の柱として甲子園の土を踏み、智弁学園(奈良)に延長サヨナラ勝ち。公式戦を無傷の28連勝で高校生活を終えた。プロ入り後は22年5月14日に初対決。23年4月15日の対戦では中山が決勝打を放った。
◆喜怒哀楽 どんどん出して…堀内恒夫氏の「Point」
中山がチーム71イニングぶりのタイムリー。同級生の高橋宏から打ったこともあって、ずいぶんな喜びようだった。打った時は喜ぶ、失敗した時は悔しがる。喜怒哀楽は出せばいいし、それは若い選手の特権みたいなものよ。特に岡本や坂本ら主力がいない今こそ若手は、もっと気持ちを表現すればいいと俺は思うよ。
◆ソフトバンクへ移籍…同期秋広との誓い
中山は同期と誓い合った。12日の昼過ぎ。スマホが鳴った。「夕方に電話しようと思っていたらアキ(秋広)から電話が来たんです」。ソフトバンクへのトレード発表直後の秋広からだった。
20年のドラフトで入団した同期。同じ高卒の左打者で、一塁や左翼など守るポジションが重なることもある。プロ入り後は切磋琢磨(せっさたくま)して高め合ってきた存在だった。
遠く福岡へ行く秋広と電話越しでいつものようにふざけ合いつつ、それぞれのチームで活躍すると決めた。「これから2人で頑張っていこうと思っていたので寂しい気持ちもあるけど、自分もアキに負けないように」。居場所は違っても関係は変わらない。