◆JERA セ・リーグ 巨人1ー0中日(17日・東京ドーム)
研究通り投げ込んだ。巨人のF・グリフィン投手(29)が丁寧にフィニッシュした。
相手エース・高橋宏との投手戦を制した。140キロ台中盤と決して本調子でない直球を、5種の変化球で生かした。中でも抜群だったのが130キロ台でブレーキを利かせたチェンジアップ。奥行きで翻弄(ほんろう)した。10日ヤクルト戦(神宮)では約5%(95球中5球)だったチェンジアップを、この日は4回までの56球で10球。「最初から今日はいこうと思っていた」。前回精度の悪かったスプリットではない落ち球の割合を序盤に増やし、打者に意識させたのが功を奏した。
被安打3。
マウンドではクールに緻密な計算を繰り返す。練習中は日本で流行のJ―POPやラップをおちゃめに口ずさむが、野球の話となれば瞬く間に理論派へ変身。球の回転効率や回転軸に強いこだわりを持ち、事細かに言語化する能力がある。昨季まで3年連続12勝の戸郷が日頃から左腕に積極的に質問しに行くのも信頼の証し。「戸郷の球質的にはこうじゃない?」と助言は的確だ。同僚のささいな変化にも気付ける眼力で、打者の変化も見逃さない。「去年、中日相手にチェンジアップが有効だったのを覚えていた」と全ての準備が実った94球だった。
5回にはバットを短く持って高橋宏から今季初安打となる右前打。