◆パ・リーグ 西武3×―2オリックス=延長10回=(17日・ベルーナドーム)
甲子園で慣れていたはず景色は格別のものだった。2万6465人の大観衆の前でお立ち台に登った西武・山田陽翔投手はウィニングボールを手に「すごく重たいですね」と3年目でつかんだプロ初勝利の喜びをかみしめた。
2―2の10回に登板。左足をほとんど上げず、マウンドの傾斜に沿って踏み出す独特のフォーム。西口監督を「横から見ていて、何を投げているかわからないくらいのいい変化をしている」とうならせるフォークボール、カットボールといった変化球を駆使して3者凡退に仕留めると、その裏のサヨナラ劇につなげた。プロ初登板となった4月3日の楽天戦(楽天モバイル)から救援で12試合に登板し、12イニング連続無失点を継続中。「緊迫した場面で任せていただけるのはすごくうれしい。どの場面でも抑えていきたい」と意気に感じてマウンドに向かう。
近江で甲子園通算11勝の右腕も期待されながら2年目まではファーム暮らし。「いくら頑張っても実力の差が縮まらなくて本当にもどかしかった」。転機は今年1月の自主トレ。先輩の平良に同行して理論に基づいた睡眠、栄養の取り方などを教わった。「野球人生にとって大きく変わった瞬間でした。様々な面で考え方が変わって、無知だった分いろんなことを吸収できた」と実感している。
チームは今季3度目のサヨナラ勝ちで3年ぶりの貯金5。「まだ始まったばかり。気を抜かずにいい成績を残していきたい」と山田。甲子園のヒーローからレオの投手陣の柱へ。成長曲線を描いていく。