◆東京新大学野球春季リーグ戦第7週第3日▽共栄大1―2創価大(19日・岩槻川通公園野球場)

 決勝のホームを踏んだ瞬間、立石正広(4年=高川学園)は喜びを爆発させた。

これで2季連続、51回目のリーグ連覇。

第74回全日本大学野球選手権(6月9日開幕・神宮、東京D=報知新聞社後援)への出場を決めた。

 すべてはチームのためだった。4回に四球で出塁すると、50メートル6秒の俊足を生かしすかさず盗塁。2死後、失策の間に本塁に生還し、これが決勝点となった。8回には死球で出塁。後続の左翼線適時二塁打で再び本塁に帰還し、この試合2得点を挙げた。

 「しんどかった」。両校が優勝をかけて戦った試合。張り詰めた空気が球場を支配した。8回、立石への死球を巡り、両校首脳陣がその場で口論に。一時騒然となり、警告試合が宣告された。

 立石は5本塁打、16打点とリーグ二冠が確定。

打率は19日の試合前時点でリーグ4位の4割2分1厘だったため、この試合の安打数次第で1位タイの東京国際大・尤彦晟(ユウ・イェンチェン)と、共栄大・花倉凪海を抜いて、首位打者も獲得して三冠王となる可能性があった。しかし主将が最優先したのは“チームの勝利”。「自分の記録はどうでもよくて」。チームを何よりも大切に思う気持ちが、リーグ連覇に導いた。

 佐藤康弘監督(57)は「頑張ってくれた」とこれまでの努力をたたえた。立石は「こういう(接戦の)試合を勝ち切ることに意味がある」と淡々。選手権の初戦は、くしくも主将の出身・山口に校舎を構える東亜大との1戦。「1試合ごとに結果を出せるよう、準備していくしかない」。次の戦いに向け、再び立石が走り出した。(北村 優衣)

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